歌野晶午『Dの殺人事件、まことに恐ろしきは』( KADOKAWA)レビュー

Dの殺人事件、まことに恐ろしきは

Dの殺人事件、まことに恐ろしきは



 『死体を買う男』と『密室殺人ゲーム』シリーズの作者ならではの、テクノグロナンセンスとサプライズの饗宴。「スマホと旅する男」なんて、シュールな着地がうまくキマッてツボ。乱歩作品のもうひとつの特徴である独特の疑心暗鬼っぷりも、きっちりと通奏低音として引き継いでいる。登場人物の会話の興が乗り過ぎて、発話上のトーンが皆一様になって、発話者がわからない場面が多々あるのは、筆が遊びすぎたか。