鳥飼否宇『憑き物』(講談社ノベルス)レビュー

本日のエピグラフ

 「(…)イヅナは『障る』動物なんだ。人間にとっては悪い霊だ。キミの言い方に従えば、イヅナはすべて黒イヅナなんだよ。善良な白イヅナなんて存在しない」(「幽き声」p.31)

憑き物 (講談社ノベルス)

憑き物 (講談社ノベルス)



ミステリアス
クロバット
サスペンス
アレゴリカル
インプレッション
トータル44


 動物生態学民俗学の両アプローチの狭間からオカルティズムを演出するシリーズ作風は、定立した感じ。奇想系本格としてのギミックの提示において、大胆さと濃やかさが同居しているように思えるのは、専門知識がガジェットとして昇華しているからかも。