我孫子武丸、有栖川有栖、霧舎巧、貫井徳郎、法月綸太郎、麻耶雄嵩『気分は名探偵』(徳間書店)レビュー


 
 巻末覆面座談会でも言及されているように、一連の鮎川哲也の作品で、「犯人当て」型本格にある種のトラウマがあるワタシは、こういう企画にはついつい過剰な期待をしてしまうんですが、推理作家のインナーサークル内でのイベントと、新聞紙上の懸賞小説では、そらスタンスがちゃうでしょうよ、あんた。……んでも、我孫子、法月のは思わずニヤリ(ただ、我孫子作品はまだ“余詰め”の余地があるのでは)。一番可笑しかったのは、おそらく媒体が媒体であるだけに、香月実朝がいつものなりを潜めているところ。“語り”に徹している香月はえらく面妖ですねえ。――それはともかく、貫井のが正解率1%というのが、文化的断絶をあからさまに物語っていて、興味深い。○○で選挙運動はまだやれないか(やっている人もいるんでしょうが)。