小路幸也『シー・ラブズ・ユー』(集英社)レビュー

シー・ラブズ・ユー (2) (東京バンドワゴン)

シー・ラブズ・ユー (2) (東京バンドワゴン)


 
 『東京バンドワゴン』続編は、“日常の謎”ネタがもーあからさまにギミックのレベルへと落とし込まれて、そうでなきゃ前作でキャッチした読者を逃すという(おそらく編集者側の?)判断はチョー妥当だとしても、淋しいです。冬の話と春の話のネタなんて転がせばもっと面白くなったはずですけれども、仕方ありませんです。――だから、ここはひとつ、“日常の謎”メインの話を、本編に対する外伝的意味合いで、書いてもらえないかなあ。で、これはこれで纏めるとすると、メインストーリーに余計なミステリ的要素を入れずにすむんじゃないかしらん。にしても、カメラアイたる幽霊の不自由さが露わになる秋の話の冒頭に思わず顔がほころぶ。