中山智幸『さりぎわの歩き方』(文藝春秋)レビュー 

さりぎわの歩き方

さりぎわの歩き方



 
 表題作は、青春葬送曲。ある“時代”を終わらせるのに必要な格率を求める話。「長い名前」は、いまどき、まっとうな教養小説、といったところか。個々人のパーソナリティにおける断片と全体の乖離というのが、作者のとりあえずのテーマなのだろう。