樋口有介『捨て猫という名前の猫』(東京創元社)レビュー

捨て猫という名前の猫 (創元クライム・クラブ)

捨て猫という名前の猫 (創元クライム・クラブ)


 
 このシリーズの魅力って、結構セクシャリティに対するある種のイノセントな意識にあるのではありますまいか。マチズモ全開のハードボイルドが、往々にしてそこのところに屈託があるのに比して。事件の真相は突拍子もないけれども、これでオトコ側の自意識に亀裂がもたらされることもないわけで。うーん……