歌野晶午『絶望ノート 』(幻冬舎)レビュー

絶望ノート

絶望ノート



 予言ならぬ“預言”の自己成就、というべき悲喜劇。関係性の暴力がメインテーマだけれども、同時に伏在する“父”殺しという問題性の位相が、家族内における“父”の座の簒奪へと変奏させられているところに、今日的なリアリティがあるだろう。ジョン・レノンが“父”の座に鎮められるとは。