獅子宮敏彦『天命龍綺 大陸の魔宮殿』(講談社ノベルズ)レビュー

天命龍綺 大陸の魔宮殿 (講談社ノベルス)

天命龍綺 大陸の魔宮殿 (講談社ノベルス)



 波瀾万丈の運命に翻弄される少年少女の成長物語という主軸と、「天命」をめぐる政治的ドラマのダイナミズムを、「龍」をめぐる奇想的奸計でブリッジして、暴力と統治をめぐる一寓話を紡ぎ上げた。負わされた宿命と罪責が、アイデンティティーを獲得させているように見えるのが、この物語が厚みをもっている証左だろう。