深水黎一郎『エコール・ド・パリ殺人事件』(講談社ノベルズ)レビュー

本日のエピグラフ

 「(…)その証拠に欧米と違って日本では、画家が死ぬとその絵は一気に下がるのが普通です。(…)」(P190より)

エコール・ド・パリ殺人事件 レザルティスト・モウディ (講談社ノベルス)

エコール・ド・パリ殺人事件 レザルティスト・モウディ (講談社ノベルス)


 
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トータル41


 手持ちのカードがある人は、遠慮なく切ってほしい、と思う。物語の外部から挿入される美術史が、とんでもないかたちで事件にかかわってくる、それまでの話運びは手堅いものの、「呪われた芸術家たち」をめぐるエコノミーの論理の酷薄さを、まざまざと印象付ける。