柄刀一『翼のある依頼人』(光文社)レビュー

本日のエピグラフ

 眼前の死に戦いて引き金を引く。捨て身の反撃。/(…)/撃ち返す甲冑。銃も持たず、射手を倒す。(「見えない射手の、立つところ」pp.155‐156)

翼のある依頼人

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 ライトミステリ、コージー、ではないよね。本作品集の目玉は、「見えない射手の、立つところ」で、反リアリティの極限に挑む作者の根性に、拍手。トリック成立/解明に資するデータ列記が、トリックが巧妙精緻になるほど、小説から浮き上がってくるのは、歯がゆいところ。