本日のエピグラフ
脱血死した屍体には相反する二重の意味がある。
- 作者: 笠井潔
- 出版社/メーカー: 光文社
- 発売日: 2011/10/18
- メディア: 単行本
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ミステリアス | 9 |
アクロバット | 8 |
サスペンス | 10 |
アレゴリカル | 10 |
インプレッション | 9 |
トータル | 46 |
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矢吹駆ものとしては8年ぶり、日本編『青銅の悲劇 瀕死の王』から早3年。今回は精神分析テーマ、サイコ・サスペンス基調で、ラカン、クリステヴァの思想の批判的アプローチを目論む。精神分析=唯一神=嫌忌宗教、吸血鬼=多神教=供犠宗教にアナロジャイズされるが、生命における“血”の、“肉”にたいしての優位性を示威する力学が、多重人格的な戦略を採ることを示唆し、それが崇高性と喪失感の両義性を滲ませる必然を、作者は穿っている。