友井羊『僕はお父さんを訴えます』(宝島社)レビュー

僕はお父さんを訴えます (『このミス』大賞シリーズ)

僕はお父さんを訴えます (『このミス』大賞シリーズ)



 このミス大賞の優秀作に留まったのは、ひとえに語り口のぎこちなさが原因だろう。少年が訴訟手続きを進めるまでの行動を描く前半部が、宮部みゆきレベルにまで達していたら、強烈な読後感を残す大傑作になっていた。ともあれ、受賞後第一作が待ち遠しい人が、久しぶりに現れた。