探聖、堕つ……

推理小説界の最長老、土屋隆夫さん死去

 推理小説界の最長老で作家の土屋隆夫(つちや・たかお)さんが14日午前1時35分、心不全のため死去した。94歳だった。告別式は16日午後0時30分、長野県佐久市協和2361の1カームしらかば。喪主は長男、哲夫氏。

 中学校教諭だった1949年、短編「『罪ふかき死』の構図」でデビュー。江戸川乱歩の随筆に影響され、文学性と謎解きの面白さを併せ持つ推理小説を志し、新興宗教と地方政治の癒着を取り上げた「天狗の面」(58年)、千草検事シリーズ第1作の「影の告発」(63年、日本推理作家協会賞)などを発表、本格派の巨人と言われた。

 生家のある長野県立科町を拠点に創作を続けた地方在住作家の元祖的存在で、90歳で長編「人形が死んだ夜」を書き下ろすなど晩年まで執筆した。2002年に日本ミステリー文学大賞を受賞した。

(2011年11月14日18時32分 読売新聞)