島本理生『ファーストラヴ』(文藝春秋)レビュー


ファーストラヴ

ファーストラヴ


 若くして取り立てられた感のある作者だけれども、直木賞受賞するまでは例によって散々焦らされた。受賞作である本作は、確かに作者が新境地を示した手応えを感じさせ、納得のいく処遇。性的なるものと暴力的なるものの交錯する現場、その身体性の抑圧からの解放に、うまくカタルシスを合わせている。