麻耶雄嵩『隻眼の少女』(文藝春秋)レビュー

本日のエピグラフ

 要するに静馬はまんまと騙されたわけだ。だが不快感はなかった。むしろ幼い頃からの修練により、御陵みかげとして後天的に会得しなければならない厳しさと業の深さを感じた。(P347より)

隻眼の少女

隻眼の少女



ミステリアス
クロバット10
サスペンス
アレゴリカル
インプレッション
トータル46


 大胆なコスプレ否世界設定に、重畳する論理的穿鑿。そして、収まりのよろしいエピローグ。アイロニカルな探偵小説精神を洗練させて、超然とする作者。とりあえず、名探偵が誕生するまでの“物語”が寓話的に示されている、といえそうで。象徴界を破るまでのビルドゥングスロマン