秋梨惟喬『もろこし紅游録』(創元推理文庫)レビュー

本日のエピグラフ

 (…)「(…)勝ち残るのは、ずる賢く、強い武力を持った者だ。俺はそんな世の中に魅力を感じないんだ。(…)」(「風刃水撃」p.238)

もろこし紅游録 (創元推理文庫)

もろこし紅游録 (創元推理文庫)



ミステリアス
クロバット
サスペンス
アレゴリカル10
インプレッション10
トータル47


 ホワイダニットを基調とした探偵小説のプロットを、武侠小説の器に盛って、違和感ないどころか独自の世界観にまで昇華させていると思う。各話、時代を違えているせいもあってか、各登場人物の造型が鮮明に印象付けられる。物語のダイナミクスは、探偵小説を賦活させるよね、と、あらためて感じ入る。