本日のエピグラフ
まさに“毒人間”ともいうべき彼らは、ただただ他人を傷つけ、痛めつけるために、自身の邪悪な脳が生み出した毒をつかう。(P385より)
- 作者: 深谷忠記
- 出版社/メーカー: 徳間書店
- 発売日: 2006/08
- メディア: 単行本
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ミステリアス | 8 |
アクロバット | 9 |
サスペンス | 8 |
アレゴリカル | 7 |
インプレッション | 8 |
トータル | 40 |
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相変わらず、ネタ割りが優れていて、最後まで緊張感が持続する。たい焼きのしっぽまで餡が詰まっていると思わせる、数少ない人だけれども、最近の作者は誰かと作風が近似しているなー、と思いいたったのは、歌野晶午。いや、歌野晶午が、松本清張に近づいているのかな。でも清張は、『女王様と私』みたいなのは書かないし。…………ここでは、「毒」というのが潜在する暴力の隠喩として機能するが、また「毒」というのは非力な者が行使する暴力の象徴でもある。家父長制的な私的領域で応酬される「毒」の奸計、保険金をめぐるくだりでは思わずゾーッと。――だから、ラストシーンは、物語的な必然性がある。