- 作者: 有川浩
- 出版社/メーカー: メディアワークス
- 発売日: 2006/02
- メディア: 単行本
- 購入: 12人 クリック: 506回
- この商品を含むブログ (841件) を見る
ミステリアス | 6 |
アクロバット | 7 |
サスペンス | 8 |
アレゴリカル | 8 |
インプレッション | 8 |
トータル | 37 |
---|
誰が言ったか「自衛隊萌え」、本作は、「図書館の自由に関する宣言」の忠実な実践をシミュレート。月9というより大映テレビのノリ、でもやっぱりアニメの規格だよなぁ。自ら、県民レベルの「ぷちナショナリスト」を任じているように、作者がシンパシーを覚えているのは、国軍というより、“州兵”といったほうがいいだろう。無論、州兵も有事には国軍に組み入れられるわけだが、革命権の延長で、国家が自治州を不当に侵害した場合、州知事は“州兵”を以て国家に抵抗してもよい、という見解もある。革命権のリアリティが、抽象的な抵抗権(人民による統治権)ということもさることながら、土着のナショナリズムによっても担保されているというのは、麗しき“刀狩り”の伝統がある我が国では感得されにくい。武器を持ったら革命(あるいは抵抗)、ではなく戦争という方向にアタマが行ってしまうお子たちは、権力者にとってはまことに可愛げがある存在なのだが(徴兵制廃止に<左翼>が抵抗したフランスとはえらい違い、こりゃ「街頭政治」なんて夢のまた夢だね)、例えば高村薫にしても本作者にしても、レジスタンス小説を女性が書いて、それでしっくりしてしまうのは、日本が基本的には母権社会だからか。