長坂秀佳『私の胸には蝮が宿り』(角川書店)レビュー

本日のエピグラフ

 疑うべきだ。疑うべきだ。これがテレビドラマの打ち合わせなら、とうにプロデューサーのダメが出ているところだ。(P365より)

私の胸には蝮が宿り―鷹丘城悲恋

私の胸には蝮が宿り―鷹丘城悲恋


 
ミステリアス8 
クロバット8 
サスペンス8 
アレゴリカル8 
インプレッション8 
トータル40  


 基本的には本格ミステリパロディで、ベタに対する意識的戯れを自己言及性のパラドックスの一歩手前で寸止めさせる。登場人物のキャラ付けもベタながら、軽快に読ませてくれるのでOKですね。作中の随所にある当てこすりには吹き出しますもん。最後の最後までネタを振ってくれる点でも満足だけれども、結末のサプライズは、テクスト操作的に興味深いので、もうちょっと盛り上げてほしかった。第二弾をとりあえずリクエストですね。乱歩賞作家的自意識はもうないと思うんですが。