- 作者: 深水黎一郎
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2007/04/06
- メディア: 新書
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ミステリアス | 8 |
アクロバット | 8 |
サスペンス | 7 |
アレゴリカル | 7 |
インプレッション | 7 |
トータル | 37 |
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「読者が犯人」モノの要諦は、物語を表象するテクストの絶対的な<外部>に存在する<読者>を、いかにしてナラティヴの領域に巻き込むか、ということで、例えば二人称で書かれた小説(わお!)は「あなた」が主格となり、この「あなた」の行動思考を<作者>はトレースするのだけれども、「読者が犯人」モノでこれをやった場合これは単なる倒叙モノになってしまい、「読者が犯人」モノに含意された“究極”のフーダニット性、「究極の意外な犯人」的カタルシスが殺がれてしまうわけです。――先行作品をじゅうぶんに踏まえて、作者が本書で用意した手とは、これいかに…………ちょっとだけ煙に巻いたことをいえば、可能世界論的アプローチから実存的アプローチにシフトさせたところがミソ。同様の趣向は、『新・本格推理』のなかの作品にもアリ。だけれども、ワタクシ的には別のトリックのほうがお気に入りで…………。