香納諒一『第四の闇』(実業之日本社)レビュー

第四の闇

第四の闇



 
主人公や、彼と探偵行をともにする若者たちの肖像は、さすが陰影深いもの。最後の最後まで、予断を許さぬ展開だけれども、どこかデモーニッシュな効果を取り入れたプロットが、テーマをつかみ損ねているような…………同じテーマを扱った折原一の某作のほうが、戯画的ながらもリアルに感じられてしまうのは、読書者としてのワタクシめの資質の問題かしらん。