西澤保彦『モラトリアム・シアタ produced by腕貫探偵』(実業之日本社文庫)レビュー

本日のエピグラフ

 「単なる妄想だと思い込みたい、すなわち実際の体験であるとは認めたくない、という深層心理が働いているとも考えられますが」(p.102)



ミステリアス
クロバット
サスペンス
アレゴリカル
インプレッション
トータル45


 文庫で何気なく出されたものだから、危うく読み落とすところでした。手触りとしては、泡坂妻夫っぽかったものが、筒井康隆を経由して……と、作者の物語のアクロバットを堪能できるつくり。アイデンティティー不安を戯画化しているのがナイス。