柴田よしき『謎の転倒犬』(東京創元社)レビュー

本日のエピグラフ

 「(…)口以外のいろんなところが、いろんなことを喋ってる。(…)つまり、いろんな物に喋らせているの。わたしはこんな人です。僕はこんな奴なんですよ、って(…)」(「七セットふたたび」P240より)
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ミステリアス
クロバット
サスペンス
アレゴリカル
インプレッション
トータル40


 最初と最後の話をあわせて、謎に対する解決が五年越しのこのシリーズ。作者の本格系の作品のなかでも、最良のものに属する、はず。巧まざるユーモアが、作者の人間洞察の確かさから表れているけれども、これがそのまま名探偵キャラ装置への言及に繋がってくるわけです。合コンがディスカッションの場と罠になる「狙われた学割」は、絶品。