山口雅也『キッド・ピストルズの最低の帰還』(光文社)レビュー

本日のエピグラフ

 「……私が見たと蠅は言う――よ。(…)蠅男フライマンは、壁にへばりついて、雀だか駒鳥だかの殺しについても目撃しているはずなんだわ」(「誰が駒鳥を殺そうが」P54より)

キッド・ピストルズの最低の帰還

キッド・ピストルズの最低の帰還


 
ミステリアス
クロバット
サスペンス
アレゴリカル
インプレッション
トータル42


 キッド、13年ぶりの御帰還。まさか作者が忌み数にあわせて、ここまでタメてきたわけではないでしょうが。前二編がオーソドックス(?)な展開ならば、奇想系「教祖と七人の女房と七袋の中の猫」をはさんで、後二編は作者らしいパラ本格(って言っていいのかどうか)。エクストリーム度の進む順に配列してあり、ここに本格ミステリの過去・現在・未来がある――自負が、作者にはあるのだろう。