麻見和史『真夜中のタランテラ』(東京創元社)レビュー

本日のエピグラフ

 「再生はあきらめて、機械に置き換えるということですか。それはつまり、義手や義足と同じ発想ですね? (…)」(P197より)

真夜中のタランテラ (ミステリ・フロンティア)

真夜中のタランテラ (ミステリ・フロンティア)


 
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トータル40


 受賞第一作として満足すべき出来映え。読者は義肢装具にかかわる興味深い内幕を覗き込みながら、テンポのよい展開で迷宮へ誘われる。作為を凝らした分、犯人の動機の説得力は弱いものの、読み手を翻弄する技量は確かなもの。