天城一『風の時/狼の時』(日本評論社)レビュー

風の時/狼の時 (天城一傑作集 4)

風の時/狼の時 (天城一傑作集 4)



 第四集。「自作解説」にもあるとおり、「独創的」な密室犯罪を追求していって日本型絶対戦争という舞台装置が呼び出されたのか、むしろ意識の流れは逆方向だったのではないか、と忖度するけれども。個人的には、第3部の個々の短編のシュールさが、二長編の印象を上回っていて、商業出版にのらないかたちで、つねにオリジナルな探偵小説を目指されていたのだなあ、と思いました。