大山誠一郎『密室蒐集家』(原書房)レビュー

本日のエピグラフ

 「それは、解かれたのが、いかにして密室が作られたかの謎であり、なぜ密室が作られたかの謎は依然として残っていたからです。密室に関する謎がある限り、私は現れます。(…)」(「理由ありの密室」p.202)

密室蒐集家 (ミステリー・リーグ)

密室蒐集家 (ミステリー・リーグ)



ミステリアス10
クロバット10
サスペンス
アレゴリカル
インプレッション
トータル46


 夾雑物なし、だけれども、一筋縄ではいかぬ極上不可能犯罪推理集。逆説的論理が密室の鍵を開けるカタルシスは、全五編に共通。「理由ありの密室」なんかは、メタ領域に入りかけている、この凄み。論理展開のパフォーマンスのスマートさが、小説のタイトさに繋がっているのが、実に馴染みやすく。