北國浩二『リバース』(原書房)レビュー

本日のエピグラフ

 「救える可能性はあった……」/(…)/「そういう後悔は消えないだろうな」(P60より)

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トータル43


 SF的設定が物語の周縁的要素として扱われているのには、評価が分かれるところだろうけれども、本作に伏在するテーマである“罪”の意識という問題性を、多元的に配置したと見るべき。そして、その他者性を媒介にして、“(恋)愛”というもうひとつの主題が浮上してくる。本格ミステリ的プロットは、暴走した“愛”のかたちを剔出する装置として、小説的効果をあげている。