辻村深月『ふちなしのかがみ』(角川書店)レビュー

ふちなしのかがみ

ふちなしのかがみ



 ホラーという縛りで、様々な展開を企んでいるのは、生真面目さと自負心が裏腹にのぞかれるようで、何とも頼もしいかぎり。学校がらみの話ではない表題作と「おとうさん、したいがあるよ」が個人的ツボ、とくに後者の不条理劇に、作者の進境をみる。