北山猛邦『密室から黒猫を取り出す方法 名探偵音野順の事件簿』(東京創元社)レビュー

本日のエピグラフ

 「一流というが、どれくらいすごいのかね?」/「それはもう、一言も喋らずに、ただ黙っていても犯人を告発することが可能です」(「停電から夜明けまで」P184より)


 
ミステリアス
クロバット
サスペンス
アレゴリカル
インプレッション
トータル41


 ボケ役(といったら可哀想かも)探偵のへなちょこぶりも洗練されてきて、スラップスティックな小説空間にシュールなトリックが調和して、読み心地がますますいい。「停電から夜明けまで」は、名探偵がとうとう道化になり、作者にはこういうギャグ路線をさらに突き詰めてほしいもの。