日本推理作家協会・編『ザ・ベストミステリーズ2009』(講談社)レビュー

ザ・ベストミステリーズ2009 (推理小説年鑑)

ザ・ベストミステリーズ2009 (推理小説年鑑)



 いくぜ。「熱帯夜」おあとがよろしいようで/「渋い夢」推協賞向けにはこの作品がいちばんだったか/「しらみつぶしの時計」おあとがよろしいようで/「第四象限の密室」コンセプトから発想したものって、もっとシュールな感じでいいと思いますが。やっぱり後付けの理屈かしらん/「(ケモノ)」歌野晶午っぽい終わり方/「パラドックス実践」この作品だけで見れば、この作者の新境地/「検問」オチにいたる遣り取りがイノチ/「駆込み訴え」アハハハ。いい感じですねえ。ミステリ作家が常識人になってどうするんですか、って意気込みが感じられますですよ/「前世の因縁」短編集ラスト前のお話。ありえない論理のお話が、いつの間にかお説教になっている妙/「身代金の奪い方」いったい推協賞はどんな作品で柄刀さんを評価するのでしょうか/「モドル」一服の清涼剤的な/「見えない猫」ツイストからオチに持っていくところのうまさ/「ハートレス」そろそろ作風の転換を/「音の正体」ニンマリ/「リターンズ」ミステリーというよりかは、人を食った話だけれども、実行手段がよろしい/「夜の自画像」大トリ。格の違いを見せ付ける。視線の交錯をベタに逆転劇に還元せず、そのまま“逆説”の論理へと昇華させるこのレトリシズム。