2010年上半期本格ミステリベスト5

 2009年11月〜2010年4月のベストですが、今回は看板に偽りあり。また、下半期だのみかしらん。


水魑の如き沈むもの (ミステリー・リーグ)

水魑の如き沈むもの (ミステリー・リーグ)



第1位:三津田信三『水魑の如き沈むもの』
 おめでとうございます。いやー、上半期はこれが出てくれたおかげで、何とか格好がついたかたち。ホラーと本格ミステリのクロスオーバーが、変わらず小説の膂力になっているのには、敬服する。

 

綺想宮殺人事件

綺想宮殺人事件



第2位:芦辺拓『綺想宮殺人事件』
 知の欺瞞ならぬ知のギミックの大伽藍にため息をつくか、呆れるか。しかし、この作品を前にすると、作者の過去の作品のほうが、アンチミステリっぽく思えてくるのは、如何ともしがたいことで。でも「探偵原理」は、今後重要になってくると思います。

 
番外:北森鴻ミステリ私的ベスト5
 上半期最大の事件は、北森さんの他界。自身の文体を持ち、物語の技巧にも秀でた小説家が、主要文学賞と無縁なまま逝ってしまうのは、あまりにも淋しいです。