中山七里『追憶の夜想曲』(講談社)レビュー

本日のエピグラフ

 (…)家の中に家族がいても見えない。話しているはずなのに声が届かない。同じものを見ているはずなのに皆が違うものを見ている。(p.88)

追憶の夜想曲

追憶の夜想曲



ミステリアス
クロバット
サスペンス
アレゴリカル
インプレッション
トータル44


 シリーズ続編。前作には苦言を呈したけれども、本作は大満足だ。プロットの輻輳はこれまでにないほど堂に入っていて、キワモノ系になりそうな主人公像ながらも、持ち重りのある小説に仕上がっている。多様なニュースの断片をあちこちに埋めている印象があるのは、才が先走っているからかもしれない。