『その罪』は、ドラマ作りの確かさでぐいぐい読ませる。訴求力を持たせるような物語の構築性が、鼻白むという人もいるだろうが、小説としての厚みを獲得したことも確かなことだ。同じ法廷ものでも『弁血』は破れかぶれ感がとっても心地いい(笑)。設定が設定だけに、如何ようにも転がすことが出来るあざとさと紙一重な印象があるが、話運びの上手さで、こっちが転がされる。トムロブの新作は、作風の幅をアピールさせたい意図が透けるのは仕方ないが、それでも如何にもフキツさが孕む小説世界を、きっちり堪能できる。アンチミステリファンにも訴求するところがあるのでは。
★★★★★…………面白い!
★★★★…………読み応えあり。
★★★…………一応、満足。
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