知念実希人『祈りのカルテ』(KADOKAWA)レビュー

祈りのカルテ

祈りのカルテ



 快走状態が続く作者は今度は研修医を主人公に据えた連作を物したが、作者の期待値からすれば、何か突拍子もないギミックを仕掛けてくれるんじゃないかと身構えてしまうが、本作はごくオーソドックスにすすむ。ヒューマンドラマと逆説的ロジックの調合が上手くいっており、リーダビリティも十分だ。気になるのは、作者がこういった体裁のもので満足しているのかどうか、ということの方なのだが、どうなんだろう。