2017-01-01から1年間の記事一覧

近藤史恵『マカロンはマカロン』(東京創元社)レビュー

マカロンはマカロン (創元クライム・クラブ)作者: 近藤史恵出版社/メーカー: 東京創元社発売日: 2016/12/11メディア: 単行本この商品を含むブログ (8件) を見る 今年の推協賞を竹本健治が取り損ねてしまったが、まあホントにしょーもないと思うわなあ、推協…

芦沢央『貘の耳たぶ 』(幻冬舎)レビュー

貘の耳たぶ作者: 芦沢央出版社/メーカー: 幻冬舎発売日: 2017/04/20メディア: 単行本この商品を含むブログ (4件) を見る 作者の今までの作品と比べても、出色の力作。この作品を、“物語”という観点から見たら、むしろこの小説が終わったところから、真の“物…

吉田篤弘『ブランケット・ブルームの星型乗車券』(幻冬舎)レビュー

ブランケット・ブルームの星型乗車券作者: 吉田篤弘出版社/メーカー: 幻冬舎発売日: 2017/03/09メディア: 単行本この商品を含むブログ (4件) を見る 「クラフト・エヴィング商會」の中の人の紡ぐ、遠い国で堀り起こされた、心が緩むたおやかな寓話の詰め合わ…

石持浅海『鎮憎師』(光文社)レビュー

鎮憎師作者: 石持浅海出版社/メーカー: 光文社発売日: 2017/04/18メディア: 単行本(ソフトカバー)この商品を含むブログ (4件) を見る 作者の新シリーズみたいだけれども、どう? 新鮮味ってあんまりないような。インナーサークルの確執が愛憎を輻輳させて…

恩田陸『七月に流れる花』『八月は冷たい城 』(講談社)レビュー

七月に流れる花 (ミステリーランド)作者: 恩田陸,酒井駒子出版社/メーカー: 講談社発売日: 2016/12/20メディア: 単行本この商品を含むブログ (3件) を見る 八月は冷たい城 (ミステリーランド)作者: 恩田陸,酒井駒子出版社/メーカー: 講談社発売日: 2016/12/2…

綾辻行人『人間じゃない 綾辻行人未収録作品集』(講談社)レビュー

人間じゃない 綾辻行人未収録作品集作者: 綾辻行人出版社/メーカー: 講談社発売日: 2017/02/24メディア: 単行本この商品を含むブログ (4件) を見る 「名伯楽」と敬われたU氏の急逝からはや十年の月日が巡り、いやそれでも本格ミステリなるもののスピリット…

芦辺拓『楽譜と旅をする男 』(光文社)レビュー

楽譜と旅する男作者: 芦辺拓出版社/メーカー: 光文社発売日: 2017/03/16メディア: 単行本この商品を含むブログ (2件) を見る 作者の奇想と幻想と夢想の重畳化された迷宮世界へ彷徨うことのできるストレインジストーリー連作。アモルファスな異界への興味が、…

乾くるみ『物件探偵』(新潮社)レビュー

物件探偵作者: 乾くるみ出版社/メーカー: 新潮社発売日: 2017/02/22メディア: 単行本この商品を含むブログ (6件) を見る あ、もしかしたら、理系のひとって、不動産取引のコリクツをコネクリまわすのが、結構くるもんがあるのかなあ、と思った。法律学系就中…

『昭和元禄落語心中 -助六再び篇-』

昭和元禄落語心中 -助六再び篇- Blu-ray BOX(期間限定版)出版社/メーカー: キングレコード発売日: 2017/06/07メディア: Blu-rayこの商品を含むブログ (5件) を見る 前シリーズに引き続き、本シリーズもオンエアチェックしたけれども、いやあ大河ドラマでした…

愛川晶 『「茶の湯」の密室   神田紅梅亭寄席物帳』(原書房)レビュー

「茶の湯」の密室: 神田紅梅亭寄席物帳 (ミステリー・リーグ)作者: 愛川晶出版社/メーカー: 原書房発売日: 2016/11/24メディア: 単行本この商品を含むブログを見る うわあい、作者が文春文庫のほうでなにげに始めてる新シリーズをフォローしてないぞ。文春の…

石持浅海『殺し屋、やってます。』(文藝春秋)レビュー

殺し屋、やってます。作者: 石持浅海出版社/メーカー: 文藝春秋発売日: 2017/01/12メディア: 単行本この商品を含むブログ (4件) を見る 版元PRに「殺し屋が解く日常の謎」とあるが、ちょっと違うよね。加害者側が主人公である場合、状況の主権者であるはず…

有栖川有栖 『狩人の悪夢』( KADOKAWA)レビュー

狩人の悪夢作者: 有栖川有栖出版社/メーカー: KADOKAWA発売日: 2017/01/28メディア: 単行本この商品を含むブログ (10件) を見る 作者がコンスタントに重量感のある作品を発表し続けているのは、もはや作風の独立性が揺るがないからだろうと思う。ディレッタ…

生馬直樹『夏をなくした少年たち』(新潮社)レビュー

夏をなくした少年たち作者: 生馬直樹出版社/メーカー: 新潮社発売日: 2017/01/20メディア: 単行本この商品を含むブログを見る 今年の新潮ミステリー大賞受賞作。ようこそここへクッククックと口ずさみたくなるほど、クックと道尾秀介クサい小説で、それでも…

一條次郎『レプリカたちの夜』(新潮社)レビュー

レプリカたちの夜作者: 一條次郎出版社/メーカー: 新潮社発売日: 2016/01/22メディア: 単行本この商品を含むブログ (3件) を見る 昨年の新潮ミステリー大賞受賞作だが、ファンノベ賞とどう違うのというツッコミをしようとしたら、ファンノベ賞休眠状態だった…

逸木裕『虹を待つ彼女』( KADOKAWA)レビュー

虹を待つ彼女作者: 逸木裕出版社/メーカー: KADOKAWA発売日: 2016/09/30メディア: 単行本この商品を含むブログを見る 昨年の横溝賞受賞作だが、選評を見る限り、ほかにイイ玉がなかったみたい。話運びはウマいと感じるが、テクノロジー小説が与えてくれるは…

柚月裕子『慈雨』(集英社)レビュー

慈雨作者: 柚月裕子出版社/メーカー: 集英社発売日: 2016/10/26メディア: 単行本この商品を含むブログ (6件) を見る 作者の前作『孤狼の血』は単なる悪徳警官ものに終わらない力作で、推協賞受賞も頷ける作品だった。受賞第一作も、刑事のアイロニーを抉る作…

米澤穂信『いまさら翼といわれても』(KADOKAWA)レビュー

いまさら翼といわれても作者: 米澤穂信出版社/メーカー: KADOKAWA発売日: 2016/11/30メディア: 単行本この商品を含むブログ (35件) を見る 近年の作者の芸風にナットクしていたわけではないのだったが、しかし現在の日本ミステリの領域で、読者をもっとも納…

西澤保彦『悪魔を憐れむ』(幻冬舎)レビュー

悪魔を憐れむ作者: 西澤保彦出版社/メーカー: 幻冬舎発売日: 2016/11/23メディア: 単行本この商品を含むブログ (11件) を見る 4年ぶりのタックシリーズ、間が開くと登場人物の関係性がわからなくなるのは、ちょっとツライものがあるけれども、作者独特の論…

芦辺拓『ダブル・ミステリ (月琴亭の殺人/ノンシリアル・キラー) 』(東京創元社)レビュー

ダブル・ミステリ (月琴亭の殺人/ノンシリアル・キラー)作者: 芦辺拓出版社/メーカー: 東京創元社発売日: 2016/12/21メディア: 単行本この商品を含むブログ (6件) を見る ギミック重視のものになると、作者のコンセプチュアルな気配りが、一筋縄ではいかない…

石持浅海『パレードの明暗 座間味くんの推理』(光文社)レビュー

パレードの明暗 座間味くんの推理作者: 石持浅海出版社/メーカー: 光文社発売日: 2016/10/18メディア: 単行本(ソフトカバー)この商品を含むブログ (1件) を見る お久しぶりの座間味くんシリーズで、作者ならではのシュールな論理のアクロバットが愉快に満…

下村敦史『告白の余白』(幻冬舎)レビュー

告白の余白作者: 下村敦史出版社/メーカー: 幻冬舎発売日: 2016/11/23メディア: 単行本この商品を含むブログ (3件) を見る 作者に心理ミステリ的傾向があるのは特に近年の作品に顕著だが、本作はその路線を純化したといえるかも。スリリングではあるのだけれ…

歌野晶午『Dの殺人事件、まことに恐ろしきは』( KADOKAWA)レビュー

Dの殺人事件、まことに恐ろしきは作者: 歌野晶午出版社/メーカー: KADOKAWA発売日: 2016/11/02メディア: 単行本この商品を含むブログ (6件) を見る 『死体を買う男』と『密室殺人ゲーム』シリーズの作者ならではの、テクノグロナンセンスとサプライズの饗宴…