鯨統一郎『ＫＡＩＫＥＴＵ！ 赤頭巾侍』(徳間書店)レビュー

KAIKETSU!赤頭巾侍

ミステリアス	７
アクロバット	６
サスペンス	６
アレゴリカル	７
インプレッション	７
トータル	３３

　<本格>における“戯作者”の役割を引き受けているフシがある作者。それにしても、間口が広いよなあ。“勧善懲悪”の定型を揶揄する結構を持つのだけれども、中ほどまで読んで、てっきり“赤頭巾”もそうなんでないかと、勘ぐったんですが…………「赤ずきん」にはいろんな暗喩があるわけですし。個人的には、“勧善懲悪”の揶揄が、後期クイーン的問題を経由して、完璧に“偽善”にまで高められても良かったように思うけれども。