- 作者: 橋本努
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2008/08/08
- メディア: 単行本
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ネオコン、ネオリベ、コミュニタリアニズム、リバタリアニズムに従来型のリベラリズム、そしてマルクシズムに平等主義――政治‐経済と“倫理”のあいだをつなぐイデオロギーの諸々を総点検。時事問題の論点の差異に基づいて作られたチャートにて、あなたのコミットしているイデオロギーを確認する。無論、このようなかたちで、諸“思想”を学習するのが目的だけれども、類型化されて紹介されたそれよりも、近代卓越主義や共和主義などの類型から漏れたイデオロギーをチェックするのも肝要。*1てか、ワタクシは共和主義者でありました、本書に従えば。異存はありません。さらに、「包摂主義」と「非包摂主義」の区分けによる経済問題におけるポジショニングの検討、また「市場」と「統治」の倫理を再検討・再類型化し、最後にあなたのイデオロギーを確認するためのアンケートが待っている。著者のいうように「私たちの生きる現代社会には大したイデオロギー対立があるわけでも」ないのだけれども、それゆえに、「人々の情動にによって、政治が動いてしまうかもしれない」。だからこそ、イデオロギーなるものを亡霊化させず、議論の俎上に載せなければならない――のはわかるけれども、イデオロギー対立がなくなったのは、それに無関心になったわけでなく、人々がむしろ意識して諸イデオロギーに等間隔に距離を置いているせいかもしれず、とするならば、プラグマティックな意識は、各イデオロギーから重要な知見を汲みだすのに、やっぱり必要なんじゃないか、と。