西澤保彦『身代わり』(幻冬舎)レビュー

本日のエピグラフ

 「(…)あたしにとってだいじなのは、この世のなかの、なんでもいい、なにかひとつでもいい、自由自在に操れる能力があるか否かなんだ、って」(P110より)

身代わり

身代わり


 
ミステリアス
クロバット
サスペンス
アレゴリカル
インプレッション
トータル44


 お久しぶりのこのシリーズ、個別的なエピソードが連鎖する形式かと思いきや、本作はストレートな変化球でした。クライマックスで炸裂する逆説は、本年随一のインパクト。作者にとって、呪縛する関係性においては、親子に優るものはないと考えているようで――他者を呪縛しそこなった悲劇と、本作を捉えるのならば。