『著作権の世紀―変わる「情報の独占制度」 』(集英社新書)

著作権の世紀 ――変わる「情報の独占制度」 (集英社新書)

著作権の世紀 ――変わる「情報の独占制度」 (集英社新書)



 情報は「独占」に向かない。一度現れた情報は、無際限に複製される宿命を持つ。この情報のうち、創作物にかかわる情報を囲い込むために作られた著作権制度の枠組みを、平明に解説した好著。様々なトピックが扱われるが、私自身は、グーグル問題の本質は、図書館側がグーグルに蔵書を提供する際に、一体どんな契約を交わしたのか、ということであるように思う。あるテクストについて、そのアクセスが唯一のウェブ検索事業者によってしか担保されないのは、不健全だろう。このことも含めて、アーカイヴィングにかかわる議論に切実なものを覚える。最大の困難さは、過去の作品が、権利処理コストに見合う価値もしくは利益を生み出すかどうか、なのだろうと思う。