作者名サ行

笹本稜平『失踪都市 所轄魂』(徳間書店)レビュー

失踪都市: 所轄魂 (文芸書)作者: 笹本稜平出版社/メーカー: 徳間書店発売日: 2014/07/09メディア: 単行本この商品を含むブログ (3件) を見る うわっ。地味目の警察小説シリーズだと思っていたのに、本作は本庁腐敗とのガチバトルだぞ。お約束は、アウトロー…

真保裕一『アンダーカバー 秘密調査』(小学館)レビュー

アンダーカバー 秘密調査作者: 真保裕一出版社/メーカー: 小学館発売日: 2014/06/30メディア: 単行本この商品を含むブログ (4件) を見る 緻密なプロットを組む作者への期待値は満足させてくれる。サスペンスは、予断を許さぬ展開から醸し出されるのが作風だ…

笹本稜平『逆流 越境捜査』(双葉社)レビュー

逆流 越境捜査作者: 笹本稜平出版社/メーカー: 双葉社発売日: 2014/03/19メディア: 単行本この商品を含むブログ (3件) を見る シリーズ新作は、物騒な幕開けをするが、あれよあれよという間に、権力者の犯罪醜聞へと、プロットは転がる。濃密な捜査サスペン…

坂木司『僕と先生』(双葉社)レビュー

僕と先生作者: 坂木司出版社/メーカー: 双葉社発売日: 2014/02/19メディア: 単行本この商品を含むブログ (10件) を見る シリーズ前作から七年ぶり。日常の謎系の物語を上手くまとめ上げるのに、ミステリーの構築感をしっかり残すのは、やはりセンスのある人…

周木律『五覚堂の殺人  ~Burning Ship~ 』(講談社ノベルス) レビュー

五覚堂の殺人 ~Burning Ship~ (講談社ノベルス)作者: 周木律出版社/メーカー: 講談社発売日: 2014/02/06メディア: 新書この商品を含むブログ (7件) を見る 大トリックが炸裂するのは、ユカイユカイ。衒学性と奇想性の齟齬は、小説の味と見るべきか。鮎哲の星…

笹本稜平『その峰の彼方』(文藝春秋)レビュー

その峰の彼方作者: 笹本稜平出版社/メーカー: 文藝春秋発売日: 2014/01/10メディア: 単行本この商品を含むブログ (2件) を見る 作者の山岳小説系の作品の最新作は、物語を割合ストレートに進めて、精神と肉体のドラマをダイナミックに演出。サスペンスで読者…

笹本稜平『尾根を渡る風 駐在刑事』(講談社)レビュー

尾根を渡る風 駐在刑事作者: 笹本稜平出版社/メーカー: 講談社発売日: 2013/11/28メディア: 単行本この商品を含むブログ (1件) を見る いやあ、気持ちのいい、いい心地のする小説を読ませていただきました。作者の警察小説の新作といった程度のつもりでいた…

西條奈加『いつもが消えた日 お蔦さんの神楽坂日記』(東京創元社)レビュー

いつもが消えた日 (お蔦さんの神楽坂日記)作者: 西條奈加出版社/メーカー: 東京創元社発売日: 2013/11/28メディア: 単行本この商品を含むブログ (8件) を見る 前作の連作集とは打って変わって、本作は長編。なんというか、こういうかたちの社会派もあったの…

菅原和也『CUT』(角川書店)レビュー

CUT (単行本)作者: 菅原和也出版社/メーカー: 角川書店発売日: 2013/08/31メディア: 単行本この商品を含むブログを見る 横溝賞受賞後第一作は、大満足の出来。サイコ・スリラーというより、エクストリーム系とでも言ったほうがいいと思うけれども、エグさを…

周木律『双孔堂の殺人 ~Double Torus~ 』(講談社ノベルス)レビュー

双孔堂の殺人 ~Double Torus~ (講談社ノベルス)作者: 周木律出版社/メーカー: 講談社発売日: 2013/08/07メディア: 新書この商品を含むブログ (11件) を見る 第二作目。なるほど、そうきましたか。特殊構造物にトリックを仕掛けるときの雰囲気作りに、知的装…

嶋戸悠祐『セカンドタウン』(講談社ノベルス)レビュー

セカンドタウン (講談社ノベルス)作者: 嶋戸悠祐出版社/メーカー: 講談社発売日: 2013/08/07メディア: 新書この商品を含むブログを見る 福ミスデビュー後第一作。ホラーと本格ミステリの、作者なりの融合点を探っている。カバー折り返しの作者の言葉を信じる…

島田荘司『星籠の海 上・下』(講談社)レビュー

星籠の海 上作者: 島田荘司出版社/メーカー: 講談社発売日: 2013/10/04メディア: 単行本この商品を含むブログ (13件) を見る星籠の海 下作者: 島田荘司出版社/メーカー: 講談社発売日: 2013/10/04メディア: 単行本この商品を含むブログ (12件) を見る 「御手…

梓崎優『リバーサイド・チルドレン』(東京創元社)レビュー

リバーサイド・チルドレン (ミステリ・フロンティア)作者: 梓崎優出版社/メーカー: 東京創元社発売日: 2013/09/11メディア: 単行本この商品を含むブログ (20件) を見る 作者に求められているのは、こんな感じなのか、と。物語は、殺人の動機に収斂していくが…

雫井脩介『検察側の罪人』(文藝春秋)レビュー

検察側の罪人作者: 雫井脩介出版社/メーカー: 文藝春秋発売日: 2013/09/11メディア: 単行本この商品を含むブログ (12件) を見る 思い切った設定と展開で、社会派の枠組みを突破した感がある。物語自体のサスペンスは濃厚に演出されるものの、人物造型がやや…

真保裕一『正義をふりかざす君へ』(徳間書店)レビュー

正義をふりかざす君へ作者: 真保裕一出版社/メーカー: 徳間書店発売日: 2013/06/11メディア: 単行本この商品を含むブログ (13件) を見る 一筋縄ではいかない構図のストーリーを得意としてきた作者が、権力悪との対決をストレートに描いた。といっても、プロ…

周木律『眼球堂の殺人 〜The Book〜 』(講談社ノベルス)レビュー

本日のエピグラフ 「(…)神でさえも、ただ書き写すことしかできなかったものが、ザ・ブックなのさ。だから君も、神の実在はともかく、ザ・ブックの実在だけは、是非とも信じたほうが良い。いや、信じろ」(p.15) 眼球堂の殺人 ~The Book~ (講談社ノベルス)作者…

笹本稜平『突破口 組織犯罪対策部マネロン室』(幻冬舎)レビュー

突破口 組織犯罪対策部マネロン室作者: 笹本稜平出版社/メーカー: 幻冬舎発売日: 2013/02/27メディア: 単行本この商品を含むブログ (4件) を見る 登場人物の設定に十字架を背負わせているけれども、物語は割合ストレートに進む。政治経済のフィクサーが絡む…

白石かおる『誰もが僕に『探偵』をやらせたがる』(角川書店)レビュー

誰もが僕に『探偵』をやらせたがる作者: 白石かおる,佐原ミズ出版社/メーカー: 角川書店(角川グループパブリッシング)発売日: 2013/03/01メディア: 単行本この商品を含むブログ (4件) を見る ミステリアス8 アクロバット8 サスペンス7 アレゴリカル8 イ…

真保裕一『ローカル線で行こう!』(講談社)レビュー

ローカル線で行こう!作者: 真保裕一出版社/メーカー: 講談社発売日: 2013/02/13メディア: 単行本(ソフトカバー)この商品を含むブログ (19件) を見る 前作『デパートへ行こう!』よりも、こっちの方がいい感じ。波瀾万丈系起死回生ストーリーの王道を行って…

佐々木譲『人質』(角川春樹事務所)レビュー

人質作者: 佐々木譲出版社/メーカー: 角川春樹事務所発売日: 2012/12/17メディア: 単行本この商品を含むブログ (7件) を見る 警察小説が、組織小説もしくは反組織小説、あるいは情報小説としてしか価値を持たないのなら、早晩廃れるのは確実なわけです。本作…

篠田節子『ブラックボックス』(朝日新聞出版)レビュー

ブラックボックス作者: 篠田節子出版社/メーカー: 朝日新聞出版発売日: 2013/01/04メディア: 単行本 クリック: 2回この商品を含むブログ (10件) を見る 「ブラックボックス」というのは、即ちザ・システムということでもある。ハイテクファームと下層労働者…

真藤順丈『墓頭』(角川書店)レビュー

墓頭作者: 真藤順丈出版社/メーカー: 角川書店(角川グループパブリッシング)発売日: 2012/12/26メディア: 単行本この商品を含むブログ (3件) を見る 世界に胚胎する邪悪なるもの、暴力として顕現するそれを異形のものたちと対置させる。神話的定石を、二十世…

菅原和也『さあ、地獄へ堕ちよう』(角川書店)レビュー

さあ、地獄へ堕ちよう作者: 菅原和也出版社/メーカー: 角川書店(角川グループパブリッシング)発売日: 2012/09/25メディア: 単行本 クリック: 5回この商品を含むブログ (8件) を見る 今年度横溝賞受賞の一作は、読者の怖いもの見たさの興味をかきたててくれる…

島田荘司『アルカトラズ幻想』(文藝春秋)レビュー

アルカトラズ幻想作者: 島田荘司出版社/メーカー: 文藝春秋発売日: 2012/09メディア: 単行本 クリック: 77回この商品を含むブログ (13件) を見る 『追憶のカシュガル』を読んだときには、肯定的な意味で、この作者らしい枯れ方だと思ったものだが、本書を読…

佐々木譲『回廊封鎖』(集英社)レビュー

回廊封鎖作者: 佐々木譲出版社/メーカー: 集英社発売日: 2012/08/03メディア: 単行本 クリック: 2回この商品を含むブログ (6件) を見る 復讐小説として、実行者たちを社会的敗者に設定して、香港から勝者としての資本家がやってくる。物語的訴求性を持たせる…

首藤瓜於『大幽霊烏賊 名探偵面鏡真澄』(講談社)レビュー

大幽霊烏賊 名探偵面鏡真澄作者: 首藤瓜於出版社/メーカー: 講談社発売日: 2012/06/28メディア: 単行本 クリック: 6回この商品を含むブログ (8件) を見る この作者の前作の警察小説は、ワタクシ的にはダメでした。で、本作はド探偵小説なワケですが、とって…

笹本稜平『漏洩 素行捜査官』(光文社)レビュー

漏洩 素行調査官作者: 笹本稜平出版社/メーカー: 光文社発売日: 2012/05/18メディア: 単行本 クリック: 1回この商品を含むブログを見る 異色の警察小説シリーズ第三弾。経済事犯に警察上層部の銭ゲバたちが絡み、ひとりの刑事がスケープゴートにされるが、そ…

獅子宮敏彦『君の館で惨劇を』(南雲堂)レビュー

君の館で惨劇を (本格M.W.S.)作者: 獅子宮敏彦出版社/メーカー: 南雲堂発売日: 2012/03/13メディア: 単行本 クリック: 4回この商品を含むブログ (4件) を見る 本格ミステリ世界に対するオマージュ、というよりも、ほとんどカルト的な異形性の側面を容赦なく…

翔田寛『築地ファントムホテル』(講談社)レビュー

築地ファントムホテル作者: 翔田寛出版社/メーカー: 講談社発売日: 2012/02/17メディア: 単行本 クリック: 75回この商品を含むブログ (3件) を見る 乱歩賞受賞以前に物した連作推理『消えた山高帽子』と同じく、明治維新直後の時代的背景に、主人公が報道写…

佐々木譲『地層捜査』(文藝春秋)レビュー

地層捜査作者: 佐々木譲出版社/メーカー: 文藝春秋発売日: 2012/02メディア: 単行本購入: 2人 クリック: 3回この商品を含むブログ (6件) を見る 作者の作品としては、物語の展開は地味目に抑えた感があり、往きし時代の蹉跌と哀歓を探った、社会派タッチの捜…