隙だらけの子がメガネ芸をわすれた

好きな子がめがねを忘れた(11) (ガンガンコミックスJOKER)作者:藤近小梅スクウェア・エニックスAmazon アニメ見てるけれども、1ミリもおもろないのだが。ノーメガネのボケって、今まで何十年も漫才やらコントやらの蓄積があるけれども、そこから一歩も抜け…

私詳説

蝙蝠か燕か作者:西村 賢太文藝春秋Amazon ほんとに最後の私小説作家だったなあ。放蕩にして求道。放埓でも極道でもないけれども。パラノイアが幸福なかたちをとるには、ファロセントリックな無様さが必要なのかとおもったけれども、さ。いずれにせよ、藤澤清…

夜も眠れなくなっちゃう

地下鉄の駅はものすごい作者:渡部史絵平凡社Amazon 伊集院光の100年ラヂオで、春日三球・照代の地下鉄漫才を久しぶりに聴いて、大笑いだったよ。やっぱり昭和後期の漫才は、クレイジーだわ。狂気と正気ならぬ瘴気が紙一重。笑いながら、そこら辺のスリル…

だいじょうぶなかしこい子どもたち

じょうぶな頭とかしこい体になるために作者:五味 太郎ブロンズ新社Amazon 改正教育基本法施行前の本ですね。五味太郎の問題意識は、いまだにアクチュアルだけれども、改正法後の子どもたちに、伝わるかなあ。子どもがヘンになって、ますます珍妙な質問が増え…

一心不乱に維新腐乱

社会福祉法人 評議員会・理事会運営と指導監査Q&A作者:菅田 正明ぎょうせいAmazon こわいねえ、維新の馬場。公党の党首が社福の乗っ取りだなんてねえ。前代未聞でしょ。これ。こんな党に票入れるひとって、政治になにをきたいしてるんでしょうかねえ。世も末…

ゴートゥーヘルク

【BD】TVアニメ「Helck」 1巻 [Blu-ray]movicAmazon ヘルクって、こんなにおもしろかったんだ。アニメ見て、目が見開かれたわ。はっきり言って、即興芸で、物語の先の先まで、考えてると思えないけれども、それがいい。パロディ的要素がファースにダイレクト…

水は赤きから流れ

水 本の小説作者:北村 薫新潮社Amazon 北村さんの語り口がますます心地よくなってくる。無造作に心の赴くままに、資料を渉猟している、かと思いきや、意外な結びつきが露になり、読者は北村マジックに酔いしれる、という寸法。オーラス2話で庄野潤三がフィ…

像が見えます

ぞうがいます作者:五味 太郎文化出版局Amazon 五味太郎の仕事エッセー『絵本を作る』で言及されていた本をひとつずつ拝読。この本は、制作動機からして、いつもの五味太郎的ユーモアとは一線を画した感があり、言ってみれば「奇妙な味」に属するものかも。ホ…

人間の正銘

異型の白昼 (青樹社文庫)作者:森村 誠一青樹社Amazon 森村誠一さんは、まさにミスター社会派だったな。元祖「新本格」と呼ばれたころの本格作品量産時代から一息ついたときに発表されたのが『人間の証明』だったけれども、それよりもこの異型シリーズを初期…

万酷薄乱怪

2025年大阪・関西万博 SDGsガイドブック作者:稲葉茂勝文研出版Amazon どうする万博。もう公然と、空前のポンコツぶりが、大手紙でも指摘され始めていますな。万博といったら内容よりも跡地が一番気になるところなんですが、こっちの夢の島よりも寒そうなあっ…

放浪貴族

林芙美子『放浪記』 2023年7月 (NHKテキスト)作者:柚木 麻子NHK出版Amazon 林芙美子の伝記は、群ようこの本で読んだけれども、これは柚木麻子の解説か。楽しみだなあ。やっぱり林芙美子をどう語るかで、ニーチェ的な貴族意識の有無がわかるよねえ。この人を…

戦場降水帯だねもう

集中豪雨と線状降水帯 (気象学ライブラリー 3)作者:加藤 輝之朝倉書店Amazon まあ線状降水帯というタームは、カタストロフィワードになってしまいましたね。台風と合わせれば、梅雨から夏場というのは、もう水災害の季節ですね。夏を好いてる輩の気が知れん…

模倣の達意

模倣の殺意 (創元推理文庫)作者:中町 信東京創元社Amazon えーっもう復刊から20年経とうとしてるのぉ。いやもう超絶句ですよ。この作品はクリスティーのあの作品……というより、ガストン・ルルーのあれの超変奏として、もはや古典的価値がありますからね。…

20世紀壮年

実話BUNKAタブー 2023年8月号コアマガジンAmazon ブンタブ今月号は、表紙だけ見ると、完全にエロ雑誌だな。ロマン優光の上岡龍太郎の追悼文が、いちばん面白かったな。思ってみれば、上岡龍太郎って、20世紀とともに、芸能界を去ったのだなあ。

I am AIってあら 

世界 2023年7月号岩波書店Amazon ChatGPTって、まだテンプレ回答しか経験してないから、ありがたみがわからん。ただ、諸権利はガンガン侵害してくるだろうね。IT資本にすべて蹂躙されて、すべてのアート産業は儲からなくなるだろうね。ただ、生産年齢人口…

シン自由主義のドクトリン

ナオミ・クライン『ショック・ドクトリン』 2023年6月 (NHKテキスト)作者:堤 未果NHK出版Amazon いまやってる100分デ名著は、『ショック・ドクトリン』を取り上げて、すごぶる興味深い。古典と違って、現在を取材したジャーナリズムの大著なんで、NHK…

ぞんざいな時間

誰にもわかるハイデガー : 文学部唯野教授・最終講義 (河出文庫 つ 1-6)作者:筒井康隆河出書房新社Amazon 遅ればせながら読んだこの本、本文より、解説の域を超えた長文をしたためた大澤真幸の「解説」のほうが、メインですな。ひとは、どの時点で倫理感をも…

かがみのはか

怪談えほん (6) かがみのなか作者:恩田 陸岩崎書店Amazon 恩田陸のこの絵本は、『ともだちできた』よりも、生々しいな。鏡のもつ無機質な不可思議さを、子どもの奔放な想像力と接合させて、おとなの読者をもビビさせる。まあ絵力の勝利とも言え るけれども。

傘寿の収穫

散歩の収獲作者:赤瀬川 原平日本カメラ社Amazon 一昔前の赤瀬川イズムを堪能。ていうか、今現在も、この感性は普遍的で、新鮮なものです。今、老人力というパワーボイスを使いこなせる、新老人はおるのかねえ。赤瀬川を超える老人なんて出てきそうもないねえ…

これもアフタヌーンか

スキップとローファー(1) (アフタヌーンKC)作者:高松 美咲講談社Amazon 今期のアニメは、これがよかったな。都会ズレしてない無垢というより天然な主人公は胃にもたれないし、相手の男キャラもよい感じだったね。今期は他にめぼしいものがないので、この原作…

流れ黒星

不死身のつもりの流れ星作者:最果タヒPARCO出版Amazon 最果タヒって、こんなつまらんもの書く人になっちゃったのかあ。これじゃ、韻を踏んでないラップバトルと同じじゃんな。パンピー層に媚びた結果だとすれば、なんともねえ。感性は鈍ってないのだから、さ…

おともだちが、きた

おともだち できた? (講談社の創作絵本)作者:恩田 陸,石井 聖岳講談社Amazon 恩田陸のこの絵本、こわいこわいって感想ばっかだけれどさ、おいらはこの本、ちょっと泣いたな。なんというか、小さいころから孤独感を味わってきたひとだったら、他人事じゃない…

注釈の多い料理店

宮沢賢治のおはなし (2) 注文の多い料理店作者:宮沢 賢治岩崎書店Amazon 宮澤賢治の童話は、総じて人を食ったものだと思うけれども、そういうお話には、和田誠のイラストのフラットな質感がよく似合うなあ。『注文の多い料理店』は基本的にホラーだけれども…

ディストピア・バイオレンス

維新断罪 -中小企業社長が喝破する、大阪の沈みゆく理由と再生私論-作者:坂本篤紀せせらぎ出版Amazon 大阪府はあきらかに新型コロナ対策で失敗してるのに、選挙結果はああだもの。こりゃ大阪はディストピアになるわなあ、と。何かこう、分断された、という物…

四月の墓

世界のエイプリルフール・ジョーク集 (中公新書ラクレ)作者:鈴木 拓也中央公論新社Amazon もうエイプリルフールなんてやめちゃえば、って思うけれども。ウソをついてもいいのは午前中だけ、午後からウソをばらすっていう、いつのまにかできたルールは、もう…

うるうるなやつら

【Amazon.co.jp限定】うる星やつら Blu-ray Disc BOX 2(メーカー特典:「キャラクターデザイン・浅野直之描き下ろし複製色紙」付)(1,2巻購入オリジナル特典:「トートバッグ(描き下ろしラムB)」「B2布ポスター(描き下ろしラムB)」引換シリアルコード付)(…

謝らない者は、殺める者なのだ

人はなぜ謝れないのか: 自分も相手も幸せになれる「謝罪」の心理学作者:ビヴァリー エンゲル日本教文社Amazon 謝れないねえ、あの政治家は。発言の無責任さ、軽々しさ、それだけでなく、あの発言のせいで、現場の役人が、また自裁するかもしれなかった。責任…

あいまいな本日の私

大江健三郎 『燃えあがる緑の木』 2019年9月 (NHK100分de名著)作者:小野 正嗣NHK出版Amazon 大江健三郎入門みたいな本が次から次へとでてくるのだろうが、まあとりあえず、いちばん安いコレから読んだほうがいいかもね。大江の代表作といったら、この「最後…

議員自殖の間違いじゃ

放送法と権力作者:山田健太田畑書店Amazon 高市ってほんとにばかだよね。過去にヘンな本だしたり、胡乱な人間とつきあったり、国会で軽率な発言をしたり。上のは例の「電波停止」答弁をしたころに出版された良著だけれども、国民の阿呆化がとまらなければ、…

三位一体の人話

三位一体の神話〈下巻〉作者:大西 巨人光文社Amazon 大西巨人の『三位一体の神話』、当時は函入りの凝った装幀だったのよ。今になってやっと読んだけれども、凡百のミステリー作家の捨象した因果因縁の領域をこそ詳らかに構成して、俗物根性の塊である男に「…