議員自殖の間違いじゃ

放送法と権力作者:山田健太田畑書店Amazon 高市ってほんとにばかだよね。過去にヘンな本だしたり、胡乱な人間とつきあったり、国会で軽率な発言をしたり。上のは例の「電波停止」答弁をしたころに出版された良著だけれども、国民の阿呆化がとまらなければ、…

三位一体の人話

三位一体の神話〈下巻〉作者:大西 巨人光文社Amazon 大西巨人の『三位一体の神話』、当時は函入りの凝った装幀だったのよ。今になってやっと読んだけれども、凡百のミステリー作家の捨象した因果因縁の領域をこそ詳らかに構成して、俗物根性の塊である男に「…

穴を見つけると手を突っ込みたくなる

なぜ、穴を見つけるとのぞきたくなるの? 子どもの質問に学者が本気でこたえてみた。作者:石川幹人朝日新聞出版Amazon どうも、ねえ。バリバリの理系の学者が嚙み砕いて質問に答える企画を、誠実に実践しているのだが、短い紙幅のなかで特定の結論に持ってい…

自己啓発の事故継発

自己啓発の罠: AIに心を支配されないために作者:マーク・クーケルバーク青土社Amazon コンパクトにまとまっていて、大変に読みやすい。というか、すくなくとも、中学生以上の一般人が読めるように、セネカやフーコーの思想・議論のアウトラインが付録として…

小説の詳説

(読んだふりしたけど)ぶっちゃけよく分からん、あの名作小説を面白く読む方法作者:香帆, 三宅笠間書院Amazon この著者は、小説を読むのはなにかの効用を得るため、と宣ってしまっているけれども、思わずうーんと唸ってしまうよねえ。本文中にも言及されてい…

腐蝕の行動

記者襲撃 赤報隊事件30年目の真実作者:樋田 毅岩波書店Amazon 遅ればせながらこの本を読了したときに、鈴木邦男の訃報を知り、なんともいえない気分になる。赤報隊事件と統一教会・勝共連合を結ぶラインを知りたかったが、読了して、総じてウヨクたちの蠢き…

オタクを気分で生きていく

オタクを武器に生きていく (14歳の世渡り術)作者:吉田 尚記河出書房新社Amazon これからはオタクの時代だあああ、なんて言説はもう30年くらいの年季がはいってるんです。こんな言説を前にして、胡散臭く思わないオタクって、存在してるんですかね。14歳…

「SDGs」はこのままでいいのかな

科学はこのままでいいのかな ――進歩?いえ進化でしょ (ちくまQブックス)作者:中村 桂子筑摩書房Amazon サイエンスというものが、部分・局所観察から、種の全体とその進化を対象とし始めたとき、エコロジーから自然主義が消え、計測主義的な破壊のシミュレー…

一般意思0.2 減価版

一般意志2.0 ルソー、フロイト、グーグル (講談社文庫)作者:東 浩紀講談社Amazon たまたま読んだあずまんの10年以上前の本。これを読めば、今のあずまんの壊れっぷりが、如実にわかる。前半のルソー論は、大大大傑作よ。ルソーという陰キャが、コミュニケ…

むかし無化し

むかしむかしあるところに、哲学者がやってきた。 7つの昔話で学ぶ哲学入門作者:小川 仁志高橋書店Amazon 小川仁志の活躍ぶりは、基本的に好感を抱いている。ジブリとか鬼滅の刃とかはやりに乗っかる姿勢はさすがに苦しいところがあるけれども、まずは啓蒙の…

ことわざ寝正月

ことわざ生活あっちこっち2冊セット作者:しゅうご, あかいわ草思社Amazon ヨシタケシンスケの画って、ほんとにいいですよね。カリカチュアされているのに、哀愁がある。だから、シュールなネタの味わいに、深みが増してくるのです。いしいひさいちに匹敵する…

虚無への公文式

子どもはなぜ勉強しなくちゃいけないの?作者:おおたとしまさ日経BP社Amazon まあ下らない本に引っかかったもんだよ。内田樹と福岡伸一の文章読んどきゃいいんだけれども。最悪なのは、坂東眞理子。東大に行った理由が「受験勉強なんてばかばかしい」って言…

パンデミックの不分明

パンデミックの文明論 (文春新書)作者:マリ, ヤマザキ,信子, 中野文藝春秋Amazon 2年前、パンデミック進行中の最中に刊行された本ですが、結論から言えば、欧米がいち早く新型コロナを抑え込めたという、いつものオチで、ポンニチのほうはまだずるずる続い…

ワンダーランドに卒アルはない? 

ワンダーランドに卒業はない (こどものみらい叢書)作者:中島 京子世界思想社Amazon これも柚木麻子の本と同じく、ブックガイドの体裁を取り繕った批評集。しかも、対象が児童文学でありながらも、普遍的な視野を確保しているのは、さすが。『秘密の花園』を…

注意毒本

注意読本作者:五味 太郎ブロンズ新社Amazon 大人の読める絵本の典型。いやあ、この本、シリーズ化されてないのかなあ。もっと〇〇に注意って、ネタが続くと思うけれども。これ一冊で打ち止めは、にくらしいダンディズムだなあ、このイケズ~ってな。

名作なんてかわいくない

名作なんか、こわくない (PHP文芸文庫)作者:柚木 麻子PHP研究所Amazon いやあ、柚木麻子のこの批評集(断じてブックガイドなんかではない)面白かったわあ。自分の日常的出来事における披歴を導入とするのは群ようこっぽい仕草だけれども、そこから仏日英米…

ところで焼き鳥にうまいもまずいもあるのか

実話BUNKAタブー 2023年1月号コアマガジンAmazon 今月号のブンタブは、巻頭記事はひろゆきネタで、こんな人間が、おフランスでブルジョワ生活ぶっこいてるのは、本邦の損害賠償制度の欠陥としかいいようもないですね。何のために労役場があるのだろうね。藤…

 目も手も足も口ほどに物をいう

目も手も足もよくしゃべる作者:五味太郎講談社インターナショナルAmazon ははは。よくしゃべるわれらのカラダ。五味太郎のナイスな絵で、カルタをつくりたいね。日本語の慣用句を英語直訳すると、ネイティブじゃなくても、キモい感じがするわね。でも、英語…

一信不乱、一神不乱

砂漠と鼠とあんかけ蕎麦―神さまについての話作者:太郎, 五味,哲雄, 山折アスペクトAmazon 山折哲雄って、ひっかからんのよねえ。日本の宗教民俗学を探ろうとすると、まだまだ柳田国男にあたっちゃうからかなあ。折口信夫もまだアクチュアリティはあるしなあ…

そくらてすのすてらくそ

変てこ小説 ソクラてすのすけ作者:藤谷治河出書房新社Amazon ジュブナイルで、小林信彦のオヨヨ大統領シリーズを想起させる……かな、と思ったけれども、ちょっと違ったかな。筒井康隆っぽくもないけれども、まあメタフィクション要素を取り入れたSF、っぽい…

下り腹のニッポン

下り坂のニッポンの幸福論作者:内田 樹,想田 和弘青幻舎Amazon ああいいな。するする読める。直線的な時間と循環する時間の双方がトレードオフ的な関係性にあるように読めるけれども、これは並行世界的に、双方が存立するものではないかと思う。ふたつの時間…

消しゴムで反抗

消しゴムはんこの世界に浸ってみた。で、やっぱり手先が器用じゃないと愉しめないのじゃないか、その前に下絵を描くセンスも必要じゃないか、と思うわけで、ナンシー関は20世紀末のテレビ業界を消しゴムはんこで彫りつくし語りつくし、どれだけ気力があっ…

近代を生きなきゃだいじょうぶ?

勉強しなければだいじょうぶ改訂版作者:五味 太郎,内海陽子株式会社 集文社Amazon 勉強しなければだいじょうぶ、するのは学習、というお話。近代日本/日本の近代批判なんだけれども、概ね合ってると思うが、基礎学力をどう植え付けるか、というのは、結構厄…

そして保守がいなくなった

自民党の統一教会汚染 追跡3000日作者:鈴木 エイト小学館Amazon まあ何はなくとも、ひたすら読むべし読むべし読むべし、だな。ここに戦後60年の宿痾がある。

志村覇権の大勝負だあ

志村けん 160の言葉作者:志村 けん青志社Amazon この本を今よんだけれども、よかった。志村けんの常識人的なところと、職人気質的なところ、そしてドリフや母へのリスペクト、すべて伝わってくる。加藤茶の序文も泣かせるね。ただ、志村けんの芸人としてのブ…

身体改造で身体快調?

生命倫理のレッスン: 人体改造はどこまで許されるのか? (ちくまQブックス)作者:小林 亜津子筑摩書房Amazon このシリーズは大人も読める。いまのところ、一番面白いのはこの本だな。生命倫理というより、身体改造の倫理学とでもいうべき内容で、美容整形、競…

児童文学始動ふんばる

大人のための児童文学講座作者:ひこ・田中徳間書店Amazon 児童文学のブックガイドとして、頗る面白い。ジュブナイルで批評集出せること自体、新鮮な驚きがある。大人の理想のキャラクターとしての子ども像、ただそれは、理想のおとな像も立ち上げてはなかっ…

セガゲーおじさん

異世界おじさん 第1巻 [Blu-ray] 子安武人 Amazon 今期のものでは、これがいちばん。会話やシークエンス同士をつなぐ間の取り方が完璧で、コンテを相当凝ってつくってるよね。カドカワ資本で作ってる作品のなかでは、最高ケッサクなのではないか。キャストも…

鳴く鳥山を濁さず

なつのやまのとり作者:piro piro piccolo山と渓谷社Amazon まあ、バード様はキャット様同様、いいもんですね。キャット様のほうは、獲物としてバード様をねらっているわけですが、お山の中にはキャット様はいませんもんね。まあ、山に登る気はさらさらないわ…

時代と世情のあいだに

にほんの詩集 中島みゆき詩集作者:中島 みゆき角川春樹事務所Amazon よくぞこういう体裁のものをだしてくれた。中島みゆきの「歌集」なら何冊もあるけれども、「詩集」は珍しい。なんといっても桜木紫乃の巻末解説がいい。いいというか、迫力があるね。そう…