千野帽子『文藝ガーリッシュ』(河出書房新社)レビュー

文藝ガーリッシュ 素敵な本に選ばれたくて。

文藝ガーリッシュ 素敵な本に選ばれたくて。



 「世界の困難と日夜闘っているあなた」のために開かれたセレクトショップ。先輩、勉強になりました、ウッス。紹介されている小説の大半が未読なので、図書館かブックオフで探してみるっス。…………これと、『CRITICA vol.1』に寄稿された「少年探偵団is dead. 赤毛のアンis dead.――文藝ガーリッシュ・嫌ミス流」をあわせて読めば、著者の言わんとするのが、ある種の自意識の肥大化のみっともなさであることが分かる。まあ、その通りなんですけれども…………いろいろと言いたいことはあるんですが、物言えば唇寒し、「ミステリが私を棄てたのです」って言われたら、まあ、ねえ…………著者みたいな人に、探偵小説批評においてのある種の期待を抱いていたんですが。――あと、ミステリ読者はほとんど、なんやかんや言ってもオレたち好事家って意識はあるんじゃないかと思うんですが。そりゃ、“文学”に保証/保障されてませんから。<共同体>的なるものはできあがるのは必然かと思うんですが。…………あと、金井美恵子師匠がある種の<共同体>に支えられている理由が、より一層はっきりしたような。小泉喜美子がミステリに「粋」を求めたその真意からすれば、なんとも牧歌的なものだなあ、と。