芦辺拓『千一夜の館の殺人』(光文社カッパノベルス)レビュー

本日のエピグラフ

 アラビアン・ナイト――千一夜の物語はまだまだ続く。だが、悲しいことに、喜々としてこれらを語り、また耳を傾ける彼女と彼には、あまりに限られた時間しか与えられてはいないのだった。(P282より)

千一夜の館の殺人 (カッパ・ノベルス)

千一夜の館の殺人 (カッパ・ノベルス)


 
ミステリアス9 
クロバット9 
サスペンス9 
アレゴリカル9 
インプレッション9 
トータル45  


 オリエンタリズムの彼方より、幻の物語がその姿を現す。うつし世は夢、夜の夢こそまこと――物語戦隊アラビアンファイブゥゥゥ――って、パーツが五つありましたっけ。ともかく、新島ともか嬢がファリックガールズの系譜に連なったことを寿ぐ。――あと、マスクを剥がすときには、もっとバリバリ音をさせないと。天知茂が顔についた粘着物のちっこい塊を指でつまんで取っているところに、名探偵の悲哀を感じたものです、はい。