作者名ア行

折原一『ポストカプセル』(光文社)レビュー

ポストカプセル作者: 折原一出版社/メーカー: 光文社発売日: 2018/06/19メディア: 単行本この商品を含むブログ (4件) を見る ポストカプセルというイイ話系のものを、毒壺に放り込んでいたずらに撹拌させれば、こんなハナシが出来上がる。物語は、ほとんどブ…

芦沢央『火のないところに煙は』(新潮社)レビュー

火のないところに煙は作者: 芦沢央出版社/メーカー: 新潮社発売日: 2018/06/22メディア: 単行本この商品を含むブログ (4件) を見る 怪談噺をミステリ的額縁で飾る構成は、三津田信三の作風を想起させるが、心理サスペンスの味わいを全話抜かりなく施している…

蒼井碧『オーパーツ  死を招く至宝 』(宝島社)レビュー

【2018年・第16回「このミステリーがすごい! 大賞」大賞受賞作】 オーパーツ 死を招く至宝 (『このミス』大賞シリーズ)作者: 蒼井碧出版社/メーカー: 宝島社発売日: 2018/01/18メディア: 単行本この商品を含むブログ (6件) を見る いやあ、今年のこのミス大…

いとうせいこう『小説禁止令に賛同する』(集英社)レビュー

小説禁止令に賛同する作者: いとうせいこう出版社/メーカー: 集英社発売日: 2018/02/05メディア: 単行本この商品を含むブログ (2件) を見る 小説、という存在を、形式として捉えるのでなく、行為として捉えるとしたら。“表現”というもののサブカテゴリーとし…

岡崎 琢磨『春待ち雑貨店 ぷらんたん』(新潮社)レビュー

春待ち雑貨店 ぷらんたん作者: 岡崎琢磨出版社/メーカー: 新潮社発売日: 2018/01/22メディア: 単行本この商品を含むブログ (2件) を見る いちばん最後のお話がミステリーっぽかったけど、この作者、似たような話を書き続けるのかなあ。読者に求められている…

伊坂幸太郎『ホワイトラビット』(新潮社)レビュー

ホワイトラビット作者: 伊坂幸太郎出版社/メーカー: 新潮社発売日: 2017/09/22メディア: 単行本この商品を含むブログ (17件) を見る 作者がミステリーというかクライムノベルにかける情熱がつかみづらくなってきているというか、ワタクシ的にはカタルシスを…

太田忠司『万屋大悟のマシュマロな事件簿』(ポプラ社)レビュー

万屋大悟のマシュマロな事件簿作者: 太田忠司出版社/メーカー: ポプラ社発売日: 2017/12/08メディア: 単行本この商品を含むブログ (1件) を見る このようなかたちでのロコドル・ミステリ連作は作者らしいっていえば、そう。オヤジ小説的な基調で、一筋縄では…

愛川晶 『手がかりは「平林」  神田紅梅亭寄席物帳』(原書房)レビュー

手がかりは「平林」: 神田紅梅亭寄席物帳 (ミステリー・リーグ)作者: 愛川晶出版社/メーカー: 原書房発売日: 2017/09/27メディア: 単行本この商品を含むブログを見る 復活後第二冊目も中編二作だが、一筋縄ではいかぬ芸人の界隈で物騒な出来事を起こさせて、…

岡田秀文『白霧学舎 探偵小説倶楽部 』(光文社)レビュー

白霧学舎 探偵小説倶楽部作者: 岡田秀文出版社/メーカー: 光文社発売日: 2017/10/17メディア: 単行本(ソフトカバー)この商品を含むブログ (2件) を見る ああ、これはミステリーランドで読みたかったなあ。ていうか、ジュブナイル向けで刊行すればよかった…

今村昌弘 『屍人荘の殺人 』(東京創元社)レビュー

屍人荘の殺人作者: 今村昌弘出版社/メーカー: 東京創元社発売日: 2017/10/12メディア: 単行本この商品を含むブログ (25件) を見る 乱歩賞、横溝賞ともに正賞なし、の新人賞不作の年を埋め合わすような持ち重りのある作品ではないが、B級ホラーの世界で本格…

彩坂美月『金木犀と彼女の時間』(東京創元社)レビュー

金木犀と彼女の時間 (ミステリ・フロンティア)作者: 彩坂美月出版社/メーカー: 東京創元社発売日: 2017/09/29メディア: 単行本この商品を含むブログ (3件) を見る ラノベというより古き佳きヤングアダルト小説の質感を湛えたような出来。タイムリープ状況を…

相沢沙呼『マツリカ・マトリョシカ』(KADOKAWA)レビュー

マツリカ・マトリョシカ作者: 相沢沙呼出版社/メーカー: KADOKAWA発売日: 2017/08/25メディア: 単行本この商品を含むブログ (6件) を見る 四年ぶりのシリーズ第三弾。読み始めて早々、主人公のちょいキモなヘタレ加減を思い出し、結構このシリーズインパクト…

市川憂人『ブルーローズは眠らない』(東京創元社)レビュー

ブルーローズは眠らない作者: 市川憂人出版社/メーカー: 東京創元社発売日: 2017/09/21メディア: 単行本この商品を含むブログ (10件) を見る 鮎川賞受賞第一作。エレガントでよろしいです。ネタをてんこ盛らずに、ある方向性に凝集させたぶん、語り口に余裕…

歌野晶午『ディレクターズ・カット』(幻冬舎)レビュー

ディレクターズ・カット作者: 歌野晶午出版社/メーカー: 幻冬舎発売日: 2017/09/07メディア: 単行本この商品を含むブログ (7件) を見る いかにも作者らしいギミックを凝らせた一気読みサスペンスだけれども、物語の瘴気と凶気を愉しむ前に、語り口の取っつき…

阿津川辰海『名探偵は嘘をつかない 』(光文社)レビュー

名探偵は嘘をつかない作者: 阿津川辰海出版社/メーカー: 光文社発売日: 2017/06/16メディア: 単行本(ソフトカバー)この商品を含むブログ (7件) を見る カッパノベルスはほとんど開店休業状態なのに、カッパワンからカッパツーですか。ちゃんと売ってあげて…

浅ノ宮遼『片翼の折鶴 』(東京創元社)レビュー

片翼の折鶴 (ミステリ・フロンティア)作者: 浅ノ宮遼出版社/メーカー: 東京創元社発売日: 2016/11/30メディア: 単行本この商品を含むブログを見る 医療ミステリ連作集のデビュー作。収録順は中ほどになるは新人賞受賞作は、逆説の切れ味が見事に決まった傑作…

大倉崇裕『クジャクを愛した容疑者 警視庁いきもの係 』(講談社)レビュー

クジャクを愛した容疑者 警視庁いきもの係作者: 大倉崇裕出版社/メーカー: 講談社発売日: 2017/06/14メディア: 単行本(ソフトカバー)この商品を含むブログ (4件) を見る サブタイがTV化にあたり、警視庁総務部動植物管理係から警視庁いきもの係へとメジ…

岩木一麻『がん消滅の罠 完全寛解の謎』(宝島社)レビュー

【2017年・第15回『このミステリーがすごい!大賞』大賞受賞作】 がん消滅の罠 完全寛解の謎 (『このミス』大賞シリーズ)作者: 岩木一麻出版社/メーカー: 宝島社発売日: 2017/01/12メディア: 単行本この商品を含むブログ (10件) を見る 最近のこのミス大賞は…

芦沢央『貘の耳たぶ 』(幻冬舎)レビュー

貘の耳たぶ作者: 芦沢央出版社/メーカー: 幻冬舎発売日: 2017/04/20メディア: 単行本この商品を含むブログ (4件) を見る 作者の今までの作品と比べても、出色の力作。この作品を、“物語”という観点から見たら、むしろこの小説が終わったところから、真の“物…

石持浅海『鎮憎師』(光文社)レビュー

鎮憎師作者: 石持浅海出版社/メーカー: 光文社発売日: 2017/04/18メディア: 単行本(ソフトカバー)この商品を含むブログ (4件) を見る 作者の新シリーズみたいだけれども、どう? 新鮮味ってあんまりないような。インナーサークルの確執が愛憎を輻輳させて…

恩田陸『七月に流れる花』『八月は冷たい城 』(講談社)レビュー

七月に流れる花 (ミステリーランド)作者: 恩田陸,酒井駒子出版社/メーカー: 講談社発売日: 2016/12/20メディア: 単行本この商品を含むブログ (3件) を見る 八月は冷たい城 (ミステリーランド)作者: 恩田陸,酒井駒子出版社/メーカー: 講談社発売日: 2016/12/2…

綾辻行人『人間じゃない 綾辻行人未収録作品集』(講談社)レビュー

人間じゃない 綾辻行人未収録作品集作者: 綾辻行人出版社/メーカー: 講談社発売日: 2017/02/24メディア: 単行本この商品を含むブログ (4件) を見る 「名伯楽」と敬われたU氏の急逝からはや十年の月日が巡り、いやそれでも本格ミステリなるもののスピリット…

芦辺拓『楽譜と旅をする男 』(光文社)レビュー

楽譜と旅する男作者: 芦辺拓出版社/メーカー: 光文社発売日: 2017/03/16メディア: 単行本この商品を含むブログ (2件) を見る 作者の奇想と幻想と夢想の重畳化された迷宮世界へ彷徨うことのできるストレインジストーリー連作。アモルファスな異界への興味が、…

乾くるみ『物件探偵』(新潮社)レビュー

物件探偵作者: 乾くるみ出版社/メーカー: 新潮社発売日: 2017/02/22メディア: 単行本この商品を含むブログ (6件) を見る あ、もしかしたら、理系のひとって、不動産取引のコリクツをコネクリまわすのが、結構くるもんがあるのかなあ、と思った。法律学系就中…

愛川晶 『「茶の湯」の密室   神田紅梅亭寄席物帳』(原書房)レビュー

「茶の湯」の密室: 神田紅梅亭寄席物帳 (ミステリー・リーグ)作者: 愛川晶出版社/メーカー: 原書房発売日: 2016/11/24メディア: 単行本この商品を含むブログを見る うわあい、作者が文春文庫のほうでなにげに始めてる新シリーズをフォローしてないぞ。文春の…

石持浅海『殺し屋、やってます。』(文藝春秋)レビュー

殺し屋、やってます。作者: 石持浅海出版社/メーカー: 文藝春秋発売日: 2017/01/12メディア: 単行本この商品を含むブログ (4件) を見る 版元PRに「殺し屋が解く日常の謎」とあるが、ちょっと違うよね。加害者側が主人公である場合、状況の主権者であるはず…

有栖川有栖 『狩人の悪夢』( KADOKAWA)レビュー

狩人の悪夢作者: 有栖川有栖出版社/メーカー: KADOKAWA発売日: 2017/01/28メディア: 単行本この商品を含むブログ (10件) を見る 作者がコンスタントに重量感のある作品を発表し続けているのは、もはや作風の独立性が揺るがないからだろうと思う。ディレッタ…

生馬直樹『夏をなくした少年たち』(新潮社)レビュー

夏をなくした少年たち作者: 生馬直樹出版社/メーカー: 新潮社発売日: 2017/01/20メディア: 単行本この商品を含むブログを見る 今年の新潮ミステリー大賞受賞作。ようこそここへクッククックと口ずさみたくなるほど、クックと道尾秀介クサい小説で、それでも…

一條次郎『レプリカたちの夜』(新潮社)レビュー

レプリカたちの夜作者: 一條次郎出版社/メーカー: 新潮社発売日: 2016/01/22メディア: 単行本この商品を含むブログ (3件) を見る 昨年の新潮ミステリー大賞受賞作だが、ファンノベ賞とどう違うのというツッコミをしようとしたら、ファンノベ賞休眠状態だった…

逸木裕『虹を待つ彼女』( KADOKAWA)レビュー

虹を待つ彼女作者: 逸木裕出版社/メーカー: KADOKAWA発売日: 2016/09/30メディア: 単行本この商品を含むブログを見る 昨年の横溝賞受賞作だが、選評を見る限り、ほかにイイ玉がなかったみたい。話運びはウマいと感じるが、テクノロジー小説が与えてくれるは…