作者名ハ行

藤崎翔『神様の裏の顔』(KADOKAWA)レビュー

神様の裏の顔作者: 藤崎翔出版社/メーカー: KADOKAWA/角川書店発売日: 2014/09/26メディア: 単行本この商品を含むブログを見る 今年の横溝賞受賞作だけれども、私は支持するね。というか、こういう作品を顕彰するところに、横溝賞の、乱歩賞に対するカウンタ…

東川篤哉『魔法使いと刑事たちの夏』(文藝春秋)レビュー

魔法使いと刑事たちの夏作者: 東川篤哉出版社/メーカー: 文藝春秋発売日: 2014/07/31メディア: 単行本この商品を含むブログ (8件) を見る いいんですよ、こういうことで。倒叙ミステリーの切れ味はじゅうぶん確保されているし、お約束のドタバタは反復ギャグ…

藤田宜永『喝采』(早川書房)レビュー

喝采 (ハヤカワ・ミステリワールド)作者: 藤田宜永出版社/メーカー: 早川書房発売日: 2014/07/26メディア: 単行本この商品を含むブログ (1件) を見る 時代の雰囲気としては、この国が政治の季節を収束させて、成長から成熟社会への扉を開け始めた頃の、社会…

樋口有介『金魚鉢の夏』(新潮社)レビュー

金魚鉢の夏作者: 樋口有介出版社/メーカー: 新潮社発売日: 2014/06/20メディア: 単行本この商品を含むブログ (2件) を見る なんともユーウツでちょいダウナーな気分にさせられる、作者の描いた近未来日本。小説の上手いひとが、日本社会の袋小路を書かざるを…

法坂一広『最終陳述』(宝島社)レビュー

最終陳述作者: 法坂一広出版社/メーカー: 宝島社発売日: 2014/04/21メディア: 単行本この商品を含むブログ (3件) を見る 作者の本領発揮であろう力作で、従来型の法廷ミステリの間隙を突くような出来。性善説的な物語のまとめ方を、トリッキーな手際で実現さ…

深水黎一郎『世界で一つだけの殺し方』(南雲堂)レビュー

世界で一つだけの殺し方 (本格ミステリー・ワールド・スペシャル)作者: 深水黎一郎出版社/メーカー: 南雲堂発売日: 2013/12/17メディア: 単行本この商品を含むブログ (2件) を見る ミステリアス8 アクロバット8 サスペンス7 アレゴリカル8 インプレッシ…

深緑野分『オーブランの少女』(東京創元社)レビュー

オーブランの少女 (ミステリ・フロンティア)作者: 深緑野分出版社/メーカー: 東京創元社発売日: 2013/10/22メディア: 単行本この商品を含むブログ (16件) を見る 新人作家のポテンシャリティを示すニュアンスが強く出ているデビュー短編集。目玉は、掉尾を飾…

福田栄一『春の駒 鷺澤家四季』(東京創元社)レビュー

春の駒 鷺澤家四季 (ミステリ・フロンティア)作者: 福田栄一出版社/メーカー: 東京創元社発売日: 2013/06/28メディア: 単行本この商品を含むブログ (6件) を見る 意識的に日常の謎系の連作を執筆したのだろうけれども、かえって作者の素の小説の上手さが際立…

平石貴樹『松谷警部と目黒の雨』(創元推理文庫)レビュー

松谷警部と目黒の雨 (創元推理文庫)作者: 平石貴樹出版社/メーカー: 東京創元社発売日: 2013/09/29メディア: 文庫この商品を含むブログ (3件) を見る ミステリアス8 アクロバット8 サスペンス7 アレゴリカル7 インプレッション7 トータル37 作者の復…

蓮見恭子『拝啓17歳の私』(角川春樹事務所)レビュー

拝啓17歳の私(わたし)作者: 蓮見恭子出版社/メーカー: 角川春樹事務所発売日: 2013/06/15メディア: 単行本この商品を含むブログを見る 連作短編形式の青春ミステリー。個々の話にギミックが効かせてあり愉しめるけれども、物語の焦点が揺らいだ感はあるかも…

東川篤哉『探偵部への挑戦状 - 放課後はミステリーとともに2』(実業之日本社)レビュー

探偵部への挑戦状 - 放課後はミステリーとともに2作者: 東川篤哉出版社/メーカー: 実業之日本社発売日: 2013/10/26メディア: 単行本(ソフトカバー)この商品を含むブログ (8件) を見る ミステリアス8 アクロバット8 サスペンス8 アレゴリカル7 インプレ…

古野まほろ『パダム・パダム Eの悲劇'80』(光文社)レビュー

パダム・パダム Eの悲劇'80作者: 古野まほろ出版社/メーカー: 光文社発売日: 2013/06/19メディア: 単行本この商品を含むブログ (8件) を見る ミステリアス8 アクロバット8 サスペンス8 アレゴリカル7 インプレッション8 トータル39 『セーラー服と黙…

東野圭吾『祈りの幕が下りる時』(講談社)レビュー

祈りの幕が下りる時作者: 東野圭吾出版社/メーカー: 講談社発売日: 2013/09/13メディア: 単行本この商品を含むブログ (40件) を見る 各紙誌の書評では、松本清張が引き合いに出されているようだ。むべなるかな、と思えど、作者には遊びが許されなくなってき…

樋口有介『風景を見る犬』(集英社インターナショナル)レビュー

風景を見る犬作者: 樋口有介出版社/メーカー: 集英社インターナショナル発売日: 2013/08/05メディア: 単行本この商品を含むブログ (5件) を見る 沖縄に居を移したらしい作者の、原点(数ひねり)回帰の会心作。沖縄の泥臭いミクロコスモスを、青年期のちょいシ…

東川篤哉『ライオンの棲む街  平塚おんな探偵の事件簿1』(祥伝社)レビュー

ライオンの棲む街 ~平塚おんな探偵の事件簿1~ (平塚おんな探偵の事件簿 1)作者: 東川篤哉出版社/メーカー: 祥伝社発売日: 2013/08/09メディア: 単行本(ソフトカバー)この商品を含むブログ (10件) を見る ミステリアス8 アクロバット8 サスペンス7 アレ…

深津十一『「童石」をめぐる奇妙な物語』(宝島社)レビュー

「童石」をめぐる奇妙な物語 (『このミス』大賞シリーズ)作者: 深津十一出版社/メーカー: 宝島社発売日: 2013/03/11メディア: 単行本この商品を含むブログを見る 今年のこのミス大賞の優秀作はイケる、という評判があるみたいなので。文章センスは抜群。平易…

藤田宜永『風屋敷の告白』(新潮社)レビュー

風屋敷の告白作者: 藤田宜永出版社/メーカー: 新潮社発売日: 2013/05/22メディア: 単行本この商品を含むブログ (2件) を見る 竹花シリーズと対をなすような、バディものの登場。本作の前日談にあたる短編集は未読だけれども、これからでも十分愉しめる。設定…

東川篤哉『私の嫌いな探偵』(光文社)レビュー

私の嫌いな探偵作者: 東川篤哉出版社/メーカー: 光文社発売日: 2013/03/16メディア: 単行本(ソフトカバー) クリック: 2回この商品を含むブログ (20件) を見る ミステリアス8 アクロバット8 サスペンス7 アレゴリカル8 インプレッション8 トータル39…

東野圭吾『夢幻花(むげんばな) 』(PHP研究所)レビュー

夢幻花(むげんばな)作者: 東野圭吾出版社/メーカー: PHP研究所発売日: 2013/04/18メディア: 単行本(ソフトカバー)この商品を含むブログ (29件) を見る 十年近く前の埋もれていた作品が甦ったかたちだけれども、この作者の話の進め方、小説の構築性のあり方…

深水黎一郎『美人薄命』(双葉社)レビュー

美人薄命作者: 深水黎一郎出版社/メーカー: 双葉社発売日: 2013/03/20メディア: 単行本この商品を含むブログ (6件) を見る 切ない話。じんわりとくるよね。稗史なるものに対する作者の感度が、ミステリーの構造と、小説的アプローチに反映されて、こんなにス…

伯方雪日『ガチ!: 少女と椿とベアナックル』(原書房)レビュー

ガチ!―少女と椿とベアナックル作者: 伯方雪日出版社/メーカー: 原書房発売日: 2013/02/01メディア: 単行本 クリック: 3回この商品を含むブログ (2件) を見る ギミックが大胆! 逃げも隠れもしない潔さ、ですね。まさに。格闘技と本格ミステリの二大テーマを…

葉真中顕『ロスト・ケア』(光文社)レビュー

ロスト・ケア作者: 葉真中顕(はまなか・あき)出版社/メーカー: 光文社発売日: 2013/02/16メディア: 単行本購入: 1人 クリック: 86回この商品を含むブログ (22件) を見る 今年のこのミス大賞の方は、食指が動かないのでパス。日ミス新人賞である本作は、話題…

藤田宜永『探偵・竹花 孤独の絆』(文藝春秋)レビュー

探偵・竹花 孤独の絆作者: 藤田宜永出版社/メーカー: 文藝春秋発売日: 2013/02メディア: 単行本この商品を含むブログ (1件) を見る 短編集。還暦といえども、オールド・ディックと呼ぶにはまだ枯れる境地には達していない、現役のP I が、大東京を駆けてい…

樋口有介『猿の悲しみ』(中央公論新社)レビュー

猿の悲しみ作者: 樋口有介出版社/メーカー: 中央公論新社発売日: 2012/09/24メディア: 単行本 クリック: 2回この商品を含むブログ (7件) を見る 身もフタもないタイトルなんだけれども、この作者だと味が出てくる、というか。アウトロー調査員である女主人公…

初野晴『カマラとアマラの丘』(講談社)レビュー

本日のエピグラフ 動物にも人間と同じように、心や魂があった。/しかし動物に心や魂があると、人間にとって都合が悪くなる。(「星々の審判」p.246) カマラとアマラの丘作者: 初野晴出版社/メーカー: 講談社発売日: 2012/09/27メディア: 単行本(ソフトカバ…

東野圭吾『禁断の魔術 ガリレオ8』(文藝春秋)レビュー

禁断の魔術―ガリレオ〈8〉作者: 東野圭吾出版社/メーカー: 文藝春秋発売日: 2012/10/01メディア: 単行本購入: 4人 クリック: 15回この商品を含むブログ (61件) を見る というわけで、湯川はアメリカへ行ってしまうのでした。しばしのお別れなんですが、いろ…

東川篤哉『魔法使いは完全犯罪の夢を見るか? 』(文藝春秋)レビュー

魔法使いは完全犯罪の夢を見るか?作者: 東川篤哉出版社/メーカー: 文藝春秋発売日: 2012/09/01メディア: 単行本購入: 1人 クリック: 8回この商品を含むブログ (18件) を見る ライト・ミステリ路線。ハメを外す匙加減もよいと思います。M男がまっとうな恋愛…

福田和代『ZONE 豊洲署刑事・岩倉梓』(角川春樹事務所)レビュー

ZONE 豊洲署刑事・岩倉梓作者: 福田和代,小林系(こばやし・けい)出版社/メーカー: 角川春樹事務所発売日: 2012/08/01メディア: 単行本購入: 3人 クリック: 36回この商品を含むブログ (8件) を見る 前作の近未来ものは、ワタクシ的にはウーンと唸ってしまった…

深谷忠記『共犯』(徳間書店)レビュー

共犯作者: 深谷忠記出版社/メーカー: 徳間書店発売日: 2012/08/11メディア: 単行本この商品を含むブログ (1件) を見る 前作はミステリ色を薄めた社会派路線だったけれども、本作では、再びサスペンスを強く打ち出した会心作。反復された幼女誘拐事件に仕掛け…

本城雅人『球界消滅』(文藝春秋)レビュー

球界消滅作者: 本城雅人出版社/メーカー: 文藝春秋発売日: 2012/07メディア: 単行本 クリック: 7回この商品を含むブログ (3件) を見る さらば、日本野球――ということで、来るべき(?)日本球界のメジャー編入による解体・再編劇を大胆にシュミレートして、大…