作者名ナ行

長岡弘樹『群青のタンデム』(角川春樹事務所)レビュー

群青のタンデム作者: 長岡弘樹出版社/メーカー: 角川春樹事務所発売日: 2014/09/13メディア: 単行本この商品を含むブログ (11件) を見る 警察小説にビルドゥングスロマン的要素を持たせた意欲作。連作として、各話、短編巧者ぶりを見せつけるが、語り口がこ…

二階堂黎人『クロノ・モザイク』(文藝春秋)レビュー

クロノ・モザイク作者: 二階堂黎人出版社/メーカー: 文藝春秋発売日: 2014/07/29メディア: 単行本この商品を含むブログ (5件) を見る このようなテーマの作者なりのアプローチが見れた、という関心が勝ったのだった。たとえば、ロジックの構築性に疎外的感覚…

長沢樹『リップステイン』(双葉社)レビュー

リップステイン作者: 長沢樹出版社/メーカー: 双葉社発売日: 2014/06/18メディア: 単行本この商品を含むブログ (12件) を見る 作者の追求しようとしている小説のニュアンスが、前面に出てきた感じ。ロマンティックな切り口が、現在的な悪意の跳梁を矯めて一…

西澤保彦『下戸は勘定に入れません』(中央公論新社)レビュー

下戸は勘定に入れません作者: 西澤保彦出版社/メーカー: 中央公論新社発売日: 2014/05/23メディア: 単行本この商品を含むブログ (7件) を見る いかにも作者らしい特殊論理の構築の仕方と、それによって巻き起こる悲喜劇の演出ぶり。作者が、緻密な論理的展開…

貫井徳郎『私に似た人』(朝日新聞出版)レビュー

私に似た人作者: 貫井徳郎出版社/メーカー: 朝日新聞出版発売日: 2014/04/08メディア: 単行本この商品を含むブログ (23件) を見る いわゆるアルカイーダと呼ばれるイスラム過激派テロ組織は、実はCIAが、相互に独立して動いているテロ集団のネットワーク…

似鳥鶏『迫りくる自分』(光文社)レビュー

迫りくる自分作者: 似鳥鶏出版社/メーカー: 光文社発売日: 2014/02/19メディア: 単行本(ソフトカバー)この商品を含むブログ (7件) を見る ドッペルゲンガー的ホラーと逃走劇の合わせ技で、読者をいつの間にか“あり得ない”方向性へ導くサスペンスフルなプロ…

長岡弘樹『波形の声』(徳間書店)レビュー

波形の声 (文芸書)作者: 長岡弘樹出版社/メーカー: 徳間書店発売日: 2014/02/14メディア: 単行本この商品を含むブログ (14件) を見る 昨年一躍ブレイクした作者の最新短編集で、期待にまがうことない粒ぞろいの出来。どの短編もギミック構成だけに担保されぬ…

西澤保彦『探偵が腕貫を外すとき』(実業之日本社)レビュー

探偵が腕貫を外すとき作者: 西澤保彦出版社/メーカー: 実業之日本社発売日: 2014/03/13メディア: 単行本(ソフトカバー)この商品を含むブログ (6件) を見る ミステリアス8 アクロバット9 サスペンス7 アレゴリカル7 インプレッション8 トータル39 シ…

長沢樹『冬空トランス』(KADOKAWA)レビュー

冬空トランス (樋口真由“消失”シリーズ)作者: 長沢樹,青山裕企出版社/メーカー: KADOKAWA/角川書店発売日: 2014/03/26メディア: 単行本この商品を含むブログ (11件) を見る ミステリアス8 アクロバット9 サスペンス7 アレゴリカル7 インプレッション8 …

中山七里『追憶の夜想曲』(講談社)レビュー

本日のエピグラフ (…)家の中に家族がいても見えない。話しているはずなのに声が届かない。同じものを見ているはずなのに皆が違うものを見ている。(p.88) 追憶の夜想曲作者: 中山七里出版社/メーカー: 講談社発売日: 2013/11/21メディア: 単行本この商品を含…

貫井徳郎『北天の馬たち』(角川書店)レビュー

北天の馬たち (単行本)作者: 貫井徳郎出版社/メーカー: 角川書店発売日: 2013/10/19メディア: 単行本この商品を含むブログを見る この作品を読んで、作者がやりたかったことというか、裡に持っている主題性が、腑に落ちた感じがした。たぶん、“義”という意識…

似鳥鶏『ダチョウは軽車両に該当します』 (文春文庫)レビュー

ダチョウは軽車両に該当します (文春文庫)作者: 似鳥鶏出版社/メーカー: 文藝春秋発売日: 2013/06/07メディア: 文庫この商品を含むブログ (20件) を見る 作者の今年出した文庫オリジナル三冊のうち、学園シリーズ、パティシエ探偵の連作ものよりも、こっちの…

長沢樹『上石神井さよならレボリューション』(集英社)レビュー

上石神井さよならレボリューション作者: 長沢樹出版社/メーカー: 集英社発売日: 2013/09/05メディア: 単行本この商品を含むブログ (17件) を見る ミステリアス8 アクロバット9 サスペンス7 アレゴリカル7 インプレッション7 トータル38 前二作のとは…

中山七里『七色の毒』(角川書店)レビュー

七色の毒作者: 中山七里出版社/メーカー: 角川書店発売日: 2013/07/31メディア: 単行本この商品を含むブログ (9件) を見る ミステリアス8 アクロバット9 サスペンス7 アレゴリカル7 インプレッション8 トータル39 前作の主人公刑事が活躍するシリーズ…

貫井徳郎『ドミノ倒し』(東京創元社)レビュー

ドミノ倒し作者: 貫井徳郎出版社/メーカー: 東京創元社発売日: 2013/06/21メディア: 単行本この商品を含むブログ (10件) を見る 軽ハードボイルドだけれども、もっとファース仕立てでもよかったかも。イノセントな共同体意識に囚われる道化となって、探偵の…

長岡弘樹『教場』(小学館)レビュー

教場作者: 長岡弘樹出版社/メーカー: 小学館発売日: 2013/06/19メディア: 単行本この商品を含むブログ (27件) を見る この作者の小説は、初期のものから読んでいて、特にデビュー短編集はバラエティがあって愉しめただけに、本書のように、いかにも無骨で渋…

西澤保彦『ぬいぐるみ警部の帰還』(東京創元社)レビュー

ぬいぐるみ警部の帰還作者: 西澤保彦出版社/メーカー: 東京創元社発売日: 2013/06/11メディア: 単行本この商品を含むブログ (9件) を見る ミステリアス8 アクロバット8 サスペンス7 アレゴリカル8 インプレッション8 トータル39 論理のアクロバットの…

中山七里『切り裂きジャックの告白』(角川書店)レビュー

切り裂きジャックの告白作者: 中山七里出版社/メーカー: 角川書店発売日: 2013/04/27メディア: 単行本この商品を含むブログ (12件) を見る ここのところ、同じ題材を扱ったものをえらく読んでいるのだけれども、どういうブームなんだろう。ということはさて…

法月綸太郎『犯罪ホロスコープII 三人の女神の問題』(光文社カッパ・ノベルズ)レビュー

本日のエピグラフ 「論理的な一貫性という意味では、彼女の思考と行動は完全に筋が通っているからだ。(…)」/(…)/「論理的一貫性というより、一種の循環論法ですかね。(…)」(「【魚座】引き裂かれた双魚」p.267) 犯罪ホロスコープII 三人の女神の問題 (カッ…

法月綸太郎『ノックス・マシン』(角川書店)レビュー

ノックス・マシン作者: 法月綸太郎,遠藤拓人出版社/メーカー: 角川書店(角川グループパブリッシング)発売日: 2013/03/27メディア: 単行本この商品を含むブログ (40件) を見る ディテクティブ・パンクだぞ。鎖された探偵小説的ゲーム空間を、異次元に解放する…

中山七里『いつまでもショパン』(宝島社)レビュー

いつまでもショパン (『このミス』大賞シリーズ)作者: 中山七里出版社/メーカー: 宝島社発売日: 2013/01/10メディア: 単行本 クリック: 1回この商品を含むブログ (13件) を見る このシリーズは、やっぱりいいなあ。コンクールの緊迫感とテロ事件を交錯させて…

西澤保彦『モラトリアム・シアタ produced by腕貫探偵』(実業之日本社文庫)レビュー

本日のエピグラフ 「単なる妄想だと思い込みたい、すなわち実際の体験であるとは認めたくない、という深層心理が働いているとも考えられますが」(p.102) モラトリアム・シアターproduced by腕貫探偵 (実業之日本社文庫)作者: 西澤保彦出版社/メーカー: 実業…

長沢樹『夏服パースペクティヴ』(角川書店)レビュー

夏服パースペクティヴ (樋口真由“消失”シリーズ)作者: 長沢樹出版社/メーカー: 角川書店(角川グループパブリッシング)発売日: 2012/11/01メディア: 単行本 クリック: 4回この商品を含むブログ (23件) を見る ミステリアス8 アクロバット8 サスペンス8 ア…

七河迦南『空耳の森』(東京創元社)レビュー

本日のエピグラフ 「『ゲド戦記』ならしっかり読んだんだけどな。(…)」/「相手の真の名前を知ることで支配することができるってやつですね。(…)」(「悲しみの子」p.125) 空耳の森 (ミステリ・フロンティア)作者: 七河迦南出版社/メーカー: 東京創元社発売日…

似鳥鶏『戦力外捜査官 姫デカ・海月千波』(河出書房新社)レビュー

戦力外捜査官 姫デカ・海月千波作者: 似鳥鶏出版社/メーカー: 河出書房新社発売日: 2012/09/11メディア: 単行本 クリック: 2回この商品を含むブログ (11件) を見る 警察小説のパロディと思いきや、そういうことでしたか、と。小説が上手いんだから、ヘンにデ…

貫井徳郎『微笑む人』(実業之日本社)レビュー

微笑む人作者: 貫井徳郎出版社/メーカー: 実業之日本社発売日: 2012/08/18メディア: 単行本 クリック: 2回この商品を含むブログ (28件) を見る ある事件が起こったとき、なぜその背後の“物語”が希求されるのだろうか。ある異常事が起こり、それがこちら側の…

中山七里『静おばあちゃんにおまかせ』(文藝春秋)レビュー

静おばあちゃんにおまかせ作者: 中山七里出版社/メーカー: 文藝春秋発売日: 2012/07メディア: 単行本 クリック: 4回この商品を含むブログ (17件) を見る ミステリアス8 アクロバット8 サスペンス8 アレゴリカル8 インプレッション7 トータル39 コージ…

貫井徳郎『新月譚』(文藝春秋)レビュー

新月譚作者: 貫井徳郎出版社/メーカー: 文藝春秋発売日: 2012/04メディア: 単行本 クリック: 19回この商品を含むブログ (21件) を見る ビルドゥングスロマンのリアリティは、その人物の体験を通しての内的変容が、人格形成に資するに足るものであるかどうか…

西村健『地の底のヤマ』(講談社)レビュー

地の底のヤマ作者: 西村健出版社/メーカー: 講談社発売日: 2011/12/20メディア: 単行本購入: 1人 クリック: 24回この商品を含むブログを見る 昨年末に刊行された大長編を読了。危うく積ん読になるところだった。率直な印象としては、とにかく本作は歴史小説…

西澤保彦『幻想即興曲 - 響季姉妹探偵 ショパン篇』(中央公論新社)レビュー

本日のエピグラフ 「(…)一度、燃やしちゃたら、もうそこで終わりだもの。楽譜だけじゃなくて、小説の原稿も」(p.21) 幻想即興曲 - 響季姉妹探偵 ショパン篇作者: 西澤保彦出版社/メーカー: 中央公論新社発売日: 2012/02/24メディア: 単行本 クリック: 2回こ…