作者名ヤ行

山田彩人『少女は黄昏に住む (マコトとコトノの事件簿)』(東京創元社)レビュー

少女は黄昏に住む (マコトとコトノの事件簿)作者: 山田彩人出版社/メーカー: 東京創元社発売日: 2013/03/09メディア: 単行本 クリック: 1回この商品を含むブログ (13件) を見る ミステリアス8 アクロバット9 サスペンス7 アレゴリカル7 インプレッション…

米澤穂信『リカーシブル』(新潮社)レビュー

リカーシブル作者: 米澤穂信出版社/メーカー: 新潮社発売日: 2013/01/01メディア: 単行本購入: 1人 クリック: 13回この商品を含むブログ (36件) を見る 異世界構築というより、作者が従来の作風からやや脱しようとする意識が、小説に緊張感をもたらしている…

薬丸岳『逃走』(講談社)レビュー

逃走作者: 薬丸岳出版社/メーカー: 講談社発売日: 2012/10/11メディア: 単行本この商品を含むブログ (1件) を見る アイリッシュ/ウールリッチ路線かと思いきや、やがて主人公をめぐる人間ドラマに焦点が絞られる。涙腺直撃的なナニワ節風の展開に危惧を抱き…

横山秀夫『64(ロクヨン)』(文藝春秋)レビュー

64(ロクヨン)作者: 横山秀夫出版社/メーカー: 文藝春秋発売日: 2012/10/01メディア: 単行本購入: 3人 クリック: 75回この商品を含むブログ (121件) を見る いやあ、待った甲斐がありました、というよりほかはなく。のっけから横山節が唸るうなる。警察内外の…

山田彩人『幽霊もしらない』(東京創元社)レビュー

本日のエピグラフ 『あんた、話の分母を大きくすることで自分を正当化するのはやめなさい』(p.227) 幽霊もしらない作者: 山田彩人出版社/メーカー: 東京創元社発売日: 2012/09/21メディア: 単行本 クリック: 2回この商品を含むブログ (7件) を見る ミステリ…

山口雅也『謎(リドル)の謎(ミステリ)その他の謎(リドル)』(早川書房)レビュー

謎(リドル)の謎(ミステリ)その他の謎(リドル) (ミステリ・ワールド)作者: 山口雅也出版社/メーカー: 早川書房発売日: 2012/08/24メディア: 単行本 クリック: 21回この商品を含むブログ (13件) を見る いかにもこの作者らしい凝りようを堪能できる。謎々と書…

薬丸岳『死命』(文藝春秋)レビュー

死命作者: 薬丸岳出版社/メーカー: 文藝春秋発売日: 2012/04メディア: 単行本 クリック: 1回この商品を含むブログ (3件) を見る 作者はサスペンス路線とクライムノベル路線の二本立てでやっていくようだけれども、本作は後者。だけれども、話の展開に気を使…

詠坂雄二『インサート・コイン(ズ)』(光文社)レビュー

インサート・コイン(ズ)作者: 詠坂 雄二出版社/メーカー: 光文社発売日: 2012/02/18メディア: 単行本(ソフトカバー)購入: 1人 クリック: 87回この商品を含むブログ (13件) を見る ノスタルジーとして甘い記憶とともに往年の名作ゲーム群が甦る――とは、一…

山田正紀『ファイナル・オペラ』(早川書房)レビュー

ファイナル・オペラ (ミステリ・ワールド)作者: 山田 正紀出版社/メーカー: 早川書房発売日: 2012/03/23メディア: 単行本 クリック: 11回この商品を含むブログ (13件) を見る オペラ三部作の完結編。日本のウルトラ・ナショナリズムを“探偵小説”で批判する壮…

柳広司『パラダイス・ロスト』(角川書店)レビュー

パラダイス・ロスト作者: 柳広司出版社/メーカー: 角川書店(角川グループパブリッシング)発売日: 2012/03/24メディア: 単行本購入: 1人 クリック: 27回この商品を含むブログ (44件) を見る シリーズ第三集。硬質な文体が物語をますます研ぎ澄まして、諜報戦…

横関大『チェインギャングは忘れない』(講談社)レビュー

チェインギャングは忘れない作者: 横関大出版社/メーカー: 講談社発売日: 2011/11/23メディア: 単行本 クリック: 10回この商品を含むブログ (5件) を見る どうもギミックだけ浮いた感じだけれども、話運びの達者さで、サイコパスとの対決まで、サスペンスフ…

柳広司『怪談』(光文社)レビュー

怪談作者: 柳広司出版社/メーカー: 光文社発売日: 2011/12/15メディア: 単行本購入: 1人 クリック: 7回この商品を含むブログ (11件) を見る 小泉八雲へのオマージュ連作だけれども、作者の構築性の高い巧緻な作風は維持されて、奇妙な味系の作品集にしては、…

吉田恭教『変若水』(光文社)レビュー

本日のエピグラフ 「うん……。農地解放のあとも、あの一族に楯突く者はおらんかったよ。米の販売ルートも牛耳られとったけんな。農地解放とは名ばかりで、以前と何ら変わることはなかった」(p.238) 変若水作者: 吉田恭教出版社/メーカー: 光文社発売日: 2011/…

薬丸岳『ハードラック』(徳間書店)レビュー

ハードラック作者: 薬丸 岳出版社/メーカー: 徳間書店発売日: 2011/09/28メディア: 単行本購入: 1人 クリック: 7回この商品を含むブログ (6件) を見る ノンストップで読めるサスペンス。あざとさギリギリだけれども、これでいい。社会派路線もいいけれども、…

山口雅也『狩場最悪の航海記』(文藝春秋)レビュー

狩場(カリヴァ)最悪の航海記作者: 山口雅也出版社/メーカー: 文藝春秋発売日: 2011/09メディア: 単行本 クリック: 3回この商品を含むブログ (7件) を見る メタフィクションの融通無碍さが、奇想奔放な物語を出来させる。ていうか、あらゆる表象を、メタファ…

山田彩人『眼鏡屋は消えた』(東京創元社)レビュー

本日のエピグラフ 「(…)あの一件でよくわかったよ。人間は信じられるものを信じるんじゃなくて、自分が信じたいものを信じるもんだってことが。(…)」(p.79) 眼鏡屋は消えた作者: 山田彩人出版社/メーカー: 東京創元社発売日: 2011/10/08メディア: 単行本 ク…

山口芳宏『蒼志馬博士の不可思議な犯罪』(創元推理文庫)レビュー

蒼志馬博士の不可思議な犯罪 (創元推理文庫)作者: 山口芳宏出版社/メーカー: 東京創元社発売日: 2011/06/11メディア: 文庫 クリック: 7回この商品を含むブログ (11件) を見る ミステリアス8 アクロバット8 サスペンス8 アレゴリカル7 インプレッション8…

薬丸岳『刑事のまなざし』(講談社)レビュー

刑事のまなざし作者: 薬丸岳出版社/メーカー: 講談社発売日: 2011/07/01メディア: 単行本購入: 1人 クリック: 3回この商品を含むブログ (6件) を見る 一人娘を暴漢に襲われた過去を持つ元法務技官の刑事が主人公の連作。前半三編が推理小説年鑑に収録された…

矢作俊彦『エンジン/ENGINE』(新潮社)レビュー

エンジン/ENGINE作者: 矢作俊彦出版社/メーカー: 新潮社発売日: 2011/05/31メディア: 単行本 クリック: 12回この商品を含むブログ (8件) を見る 意味深長な献辞で始まる、十八番のハードアクション。劇画調の場面展開にスノビッシュな会話。意識的に…

横関大『グッバイ・ヒーロー』(講談社)レビュー

グッバイ・ヒーロー作者: 横関大出版社/メーカー: 講談社発売日: 2011/05/18メディア: 単行本 クリック: 4回この商品を含むブログ (7件) を見る 乱歩賞受賞第一作は、大上段な物語ではないものの、語り口の上手さで読ませる。プロットは意表をついて面白いも…

柳広司『ロマンス』(文藝春秋)レビュー

ロマンス作者: 柳広司出版社/メーカー: 文藝春秋発売日: 2011/04メディア: 単行本 クリック: 12回この商品を含むブログ (13件) を見る 版元が版元だけに、直木賞狙い、な感じがしないでもないけれども、昭和維新とテロリズムの胎動を、華族社会のしっとりと…

詠坂雄二『乾いた屍体は蛆も湧かない』(講談社ノベルス)レビュー

本日のエピグラフ ゾンビはどうなんだろう。/腐りつつあるなら温かいような気もする。温かいなら、なおさら僕と重なるところがあるわけだ。(…)(p.41) 乾いた屍体は蛆も湧かない (講談社ノベルス)作者: 詠坂雄二出版社/メーカー: 講談社発売日: 2010/12/07メ…

米澤穂信『折れた竜骨』(東京創元社)レビュー

本日のエピグラフ 『(…)お前には素質がある。真実を見つめる勇気がある。理性と論理は魔術をも打ち破る。それを証明するんだ。(…)』(p.280) 折れた竜骨 (ミステリ・フロンティア)作者: 米澤穂信出版社/メーカー: 東京創元社発売日: 2010/11/27メディア: 単行…

山口雅也『キッド・ピストルズの醜態』(光文社)レビュー

本日のエピグラフ 「は、あ?殺人鵞鳥(マーダーグース)? あの、マザーグースの童謡どおりの残忍な見立て殺人をして悦に入ってたイカレポンチ?」(「三人の災厄の息子の冒険」P213より) キッド・ピストルズの醜態作者: 山口雅也出版社/メーカー: 光文…

詠坂雄二『ドゥルシネーアの休日』(幻冬舎)レビュー

ドゥルシネーアの休日作者: 詠坂雄二出版社/メーカー: 幻冬舎発売日: 2010/07/01メディア: 単行本 クリック: 19回この商品を含むブログ (11件) を見る 警察小説的リアリズムを、どの位相で脱臼させていくか。脱構築、というよりかは脱臼と表現したほうが、作…

横関大『再会』(講談社)レビュー

再会作者: 横関大出版社/メーカー: 講談社発売日: 2010/08/06メディア: 単行本 クリック: 25回この商品を含むブログ (20件) を見る まあ、まあまあ。選評を読むかぎり、選考委員が薀蓄小説を嫌ったということではないか。本作は、純粋にサスペンスを基調とし…

米澤穂信『ふたりの距離の概算』(角川書店)レビュー

ふたりの距離の概算作者: 米澤穂信出版社/メーカー: 角川書店(角川グループパブリッシング)発売日: 2010/06/26メディア: 単行本購入: 6人 クリック: 134回この商品を含むブログ (129件) を見る ミステリアス8 アクロバット8 サスペンス7 アレゴリカル8 …

柳広司『キング&クイーン』(講談社)レビュー

キング&クイーン (100周年書き下ろし)作者: 柳広司出版社/メーカー: 講談社発売日: 2010/05/26メディア: 単行本 クリック: 35回この商品を含むブログ (30件) を見る ストレートなサスペンス。でも、ギミックがメインだったのかなあ。小説が上手いだけに、お…

横山秀夫『臨場 スペシャルブック 』(光文社文庫)レビュー

本日のエピグラフ 「パニックはただ頭ん中が真っ白になるわけじゃねえ。一瞬にして膨大な情報や感情が脳内を駆け巡るってことだ。だから瞬時にすべてが見えちまうこともある。今日、明日、明後日、先々。食べる。生きる。(…)」(「未来の花」P173より) 臨…

柚月裕子『最後の証人』(宝島社)レビュー

最後の証人作者: 柚月裕子出版社/メーカー: 宝島社発売日: 2010/05/10メディア: 単行本購入: 2人 クリック: 14回この商品を含むブログ (25件) を見る 法廷ミステリかと思いきや…………という心憎い構成は、見事に決まった。小杉健治や深谷忠記のようなトリッキ…