2007-01-01から1年間の記事一覧

柴田よしき『朝顔はまだ咲かない』(東京創元社)レビュー

朝顔はまだ咲かない―小夏と秋の絵日記作者: 柴田よしき出版社/メーカー: 東京創元社発売日: 2007/08メディア: 単行本 クリック: 11回この商品を含むブログ (27件) を見る ミステリアス7 アクロバット7 サスペンス7 アレゴリカル8 インプレッション8 ト…

平川克美『株式会社という病』(NTT出版)レビュー

株式会社という病 (NTT出版ライブラリーレゾナント)作者: 平川克美出版社/メーカー: NTT出版発売日: 2007/06メディア: 単行本購入: 2人 クリック: 21回この商品を含むブログ (23件) を見る 株式会社批判といえば、本文中にも言及がある奥村宏の一連の著作を…

柄刀一『密室キングダム』(光文社)レビュー

本日のエピグラフ (前略)犯罪や事件に直面して人間が取る自然な行動が、ほとんど常に(中略)利用されているような気がする。(P698より) 密室キングダム作者: 柄刀一出版社/メーカー: 光文社発売日: 2007/07メディア: 単行本 クリック: 20回この商品を含む…

川上未映子『わたくし率 イン 歯ー、または世界』(講談社)レビュー

わたくし率 イン 歯ー、または世界作者: 川上未映子出版社/メーカー: 講談社発売日: 2007/07/26メディア: 単行本購入: 6人 クリック: 158回この商品を含むブログ (174件) を見る わわわ、まさかこんなカタチで、西田幾多郎的主題にアプローチするなんて。“於…

青木知己『偽りの学舎』(小学館)レビュー

偽りの学舎 (小学館ミステリー21)作者: 青木知己出版社/メーカー: 小学館発売日: 2007/06/30メディア: 単行本 クリック: 4回この商品を含むブログ (4件) を見る ミステリアス8 アクロバット7 サスペンス8 アレゴリカル7 インプレッション7 トータル37…

「城内平和」の行方

バージョンアップした『CRITICA vol.2』。やっぱり目玉は千街晶之の全方位型リアルバウト「崩壊後の風景をめぐる四つの断章」でしょうね。二階堂黎人、つづみ綾の両氏のみならず反対側にいる人間にまで批判の矛先は向くのだけれども、誰彼かまわず喧…

青井夏海『雲の上の青い空』(PHP)レビュー

雲の上の青い空作者: 青井夏海出版社/メーカー: PHP研究所発売日: 2007/07/24メディア: 単行本 クリック: 3回この商品を含むブログ (7件) を見る ミステリアス8 アクロバット7 サスペンス7 アレゴリカル7 インプレッション8 トータル37 本作と同じ、…

久綱さざれ『神話の島』(東京創元社)レビュー

[rakuten:book:12083185:detail] 極限状況下のサスペンスとして、申し分のない出来。遠くは日本神話の伝説と、近くは旧日本軍とマラリヤの記憶が、乱反射しながら回帰する。一気読みで、手に汗握りましょう。

鯨統一郎『ルビアンの秘密』(理論社)レビュー

ルビアンの秘密 (ミステリーya!) [ 鯨統一郎 ]ジャンル: 本・雑誌・コミック > 絵本・児童書・図鑑 > 児童書 > 児童書(日本)ショップ: 楽天ブックス価格: 1,512円 ミステリアス7 アクロバット7 サスペンス7 アレゴリカル7 インプレッション7 トー…

“探偵”の転回について

内田樹の近著『私家版・ユダヤ文化論』のあとがきで、内田が講義のときにツカミに以下の台詞を言ったという。「キャロル・キングとリーバー&ストーラー抜きのアメリカン・ポップスが想像できないように、マルクスとフロイトとフッサールとレヴィナスとレヴ…

日本推理作家協会編『推理小説年鑑 ザ・ベストミステリーズ2007』(講談社)レビュー

ザ・ベストミステリーズ2007 (推理小説年鑑)作者: 日本推理作家協会出版社/メーカー: 講談社発売日: 2007/07/13メディア: 単行本 クリック: 6回この商品を含むブログ (11件) を見る いくぜ。「罪つくり」期待通りの、絶品。”名探偵”小説としてのタメっぷりが…

大村友貴美『首挽村の殺人』(角川書店)レビュー

首挽村の殺人作者: 大村友貴美出版社/メーカー: 角川書店発売日: 2007/07メディア: 単行本 クリック: 9回この商品を含むブログ (22件) を見る ミステリアス8 アクロバット7 サスペンス8 アレゴリカル7 インプレッション8 トータル38 選評ではやや辛い…

宮部みゆき『楽園 上・下』(文藝春秋)レビュー

楽園〈上〉作者: 宮部みゆき出版社/メーカー: 文藝春秋発売日: 2007/08メディア: 単行本購入: 1人 クリック: 35回この商品を含むブログ (192件) を見る楽園 下作者: 宮部みゆき出版社/メーカー: 文藝春秋発売日: 2007/08メディア: 単行本購入: 2人 クリック:…

加納朋子『ぐるぐる猿と歌う鳥』(講談社)レビュー

ぐるぐる猿と歌う鳥 (ミステリーランド)作者: 加納朋子出版社/メーカー: 講談社発売日: 2007/07/26メディア: 単行本 クリック: 9回この商品を含むブログ (58件) を見る ミステリアス8 アクロバット8 サスペンス7 アレゴリカル8 インプレッション8 トー…

北川歩実『長く冷たい眠り』(徳間書店)レビュー

本日のエピグラフ 「冷凍睡眠。人体を凍らせて未来の医療に託すんですよ」(「氷の籠」P16より) [rakuten:book:12060892:detail] ミステリアス8 アクロバット8 サスペンス8 アレゴリカル9 インプレッション8 トータル41 「冷凍睡眠」をフィーチャー…

恩田陸『木漏れ日に泳ぐ魚』(中央公論新社)レビュー

本日のエピグラフ ふと、彼に発した疑問が自分に跳ね返ってくるのを感じた。/あなた、誰かを愛したことがある?(P238より) 木洩れ日に泳ぐ魚作者: 恩田陸出版社/メーカー: 中央公論新社発売日: 2007/07メディア: 単行本 クリック: 24回この商品を含むブ…

講談社BOX & Amazon.co.jp共同企画『島田荘司 very BEST10』読者投票 に投票をしました

ということで、今までの短編を読み返してたわけなんですが、げに疎ましきは中間発表ですな。こういうのは、ありがたメイワクというところがありまして、ラインナップを考える気力が萎えちゃう。ひとつは、当選圏内と思しき10位以内の作品が、みな御手洗も…

高山聖史『当確への布石』(宝島社)レビュー

当確への布石作者: 高山聖史出版社/メーカー: 宝島社発売日: 2007/06/01メディア: 単行本 クリック: 1回この商品を含むブログ (8件) を見る 先行する選挙小説に比べるとエグかったりハデではないけれど、人物造型の確かさが好感を呼ぶ佳作。今年のこのミス大…

鳥飼否宇『異界』(角川書店)レビュー

異界作者: 鳥飼否宇出版社/メーカー: 角川書店発売日: 2007/07メディア: 単行本 クリック: 9回この商品を含むブログ (21件) を見る ミステリアス8 アクロバット8 サスペンス7 アレゴリカル7 インプレッション8 トータル38 南方熊楠のキャラクターを日…

諏訪哲史『アサッテの人』(講談社)レビュー

アサッテの人作者: 諏訪哲史出版社/メーカー: 講談社発売日: 2007/07/21メディア: 単行本購入: 5人 クリック: 56回この商品を含むブログ (123件) を見る シニフィアンの連鎖からの「逸脱」が、の実存的基底を確保するのを保障するか、という問いの真摯さと、…

折原一『疑惑』(文藝春秋)レビュー

疑惑作者: 折原一出版社/メーカー: 文藝春秋発売日: 2007/06メディア: 単行本 クリック: 3回この商品を含むブログ (11件) を見る ミステリアス8 アクロバット8 サスペンス7 アレゴリカル7 インプレッション8 トータル38 作者の作風って、だんだんハイ…

萱野稔人『権力のよみかた』(青土社)レビュー

権力の読みかた―状況と理論作者: 萱野稔人出版社/メーカー: 青土社発売日: 2007/07/01メディア: 単行本購入: 5人 クリック: 104回この商品を含むブログ (59件) を見る ベネディクト・アンダーソン『想像の共同体』の副題は「ナショナリズムの起源と流行」だ…

菊池英博『実感なき景気回復に潜む金融恐慌の罠』(ダイヤモンド社)レビュー

実感なき景気回復に潜む金融恐慌の罠―このままでは日本の経済システムが崩壊する作者: 菊池英博出版社/メーカー: ダイヤモンド社発売日: 2007/06/15メディア: 単行本購入: 2人 クリック: 15回この商品を含むブログ (6件) を見る が“正義”とみなされるのは、…

井上雅彦『遠い遠い街角』(東京創元社)レビュー

[rakuten:book:12083184:detail] 変格探偵小説で描く懐旧の昭和風俗史。連作短編集の醍醐味を満喫させるということでは、北森鴻『共犯マジック』を思い出すけれども、奇譚をベースに“稗史”的な原風景を現前させている。

西澤保彦『収穫祭』(幻冬舎)レビュー

本日のエピグラフ 自分が蒔いた種が芽吹き、そして育ってゆく実感にひたりながら。着実に収穫のときが迫ってきている、その悦楽にうち震えながら。(P604より) 収穫祭作者: 西澤保彦出版社/メーカー: 幻冬舎発売日: 2007/07/01メディア: 単行本 クリック:…

早見裕司『満ち潮の夜、彼女は』(理論社)レビュー

[rakuten:book:12081166:detail] 大胆不敵なミスディレクション? ある種の“永遠”の神秘性を演出するのに、かなりの大仕掛けを目論んだ。って、これもセカイのひとつの方向性、ということかも。

芦原すなお『カワセミの森で』(理論社)レビュー

カワセミの森で (ミステリーYA!)作者: 芦原すなお出版社/メーカー: 理論社発売日: 2007/05メディア: 単行本 クリック: 7回この商品を含むブログ (20件) を見る ミステリアス8 アクロバット7 サスペンス7 アレゴリカル7 インプレッション7 トータル36 …

大沢在昌『影絵の騎士』(集英社)レビュー

[rakuten:book:12061471:detail] いま、ハードボイルド、PI小説のフィールドで、一番持ち重りのある“小説”を書けるひと――って、90年代からずっとだけれども。でも、PI小説の定型を、単なるガジェットとして終わらせないための手練手管の試行錯誤、とで…

中山智幸『さりぎわの歩き方』(文藝春秋)レビュー 

さりぎわの歩き方作者: 中山智幸出版社/メーカー: 文藝春秋発売日: 2007/06メディア: 単行本 クリック: 1回この商品を含むブログ (10件) を見る 表題作は、青春葬送曲。ある“時代”を終わらせるのに必要な格率を求める話。「長い名前」は、いまどき、まっとう…

盛山和夫『年金問題の正しい考え方』(中公新書)レビュー

年金問題の正しい考え方―福祉国家は持続可能か (中公新書)作者: 盛山和夫出版社/メーカー: 中央公論新社発売日: 2007/06メディア: 新書購入: 1人 クリック: 38回この商品を含むブログ (31件) を見る 年金問題、とくれば岩瀬達哉がこの国の年金役人たちのモラ…